事務補佐員1名
医師、歯科医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師(検査部、輸血・細胞療法部、病理部)、診療放射線技師、療法士(リハビリテーション部)、臨床工学技士、医療社会福祉士(患者支援部)、管理栄養士(臨床栄養部)、教職員(企画情報部、事務部総務課・医事課)等から構成
総務課総合医療教育係・総合医療教育研修センター 計10名
わたしは千葉大学看護学研究院の教授、専門職連携教育研究センターのセンター長を兼務しておりまして、総合医療教育研修センターでは、副センター長として働いています。センターの長中期的ビジョンの策定、そのビジョンの実現のためのいろいろなプロジェクトの企画運営評価が主な仕事です。ですので、具体的な動きとしては、大学病院におけるさまざまな研修や継続教育がうまく効果的に展開できるように、いろいろな職種・職位の方々との話し合いをいつもしている感じです。資格取得前教育と新人教育、そして専門教育を連動させ、常に専門職連携実践の質が向上するような仕掛けを考え実行に移す仕事です。
病院で働くすべての専門職の方々が、自分の職種に誇りを持つと同時に、自職種中心主義に陥ることなく他の職種の方々をリスペクトし、同じ「医療者」として目的と目標と責任を共有すること、これを専門職の2重のアイデンテイテイの発達と言います。このような「医療者らしさ」を医療者が自分自身で育てていくことができるような教育を大切にしています。多様な専門職がお互いからお互いについてお互いに学びあうことにより、難問山積の状況でも信頼に基づいてより良い医療を目指していけるのかなと思います。
千葉大学病院のいろんな部署で、普通に感じ取ることができる相互に学びあう雰囲気、相互信頼はどこにでもあるものではありません。千葉大学病院には、職種間の壁の低さ、改善に向かう努力の承認、多様な研修プログラム、キャリアの実現のためのロールモデルなど、これからの医療者の成長のジャーニーに必要なものがあります。成長するのは医療者自身ですが、その成長を支えるプラットフォームとしてセンターの資源を活用していただければ嬉しいです。
臨床研修医の皆さんに充実した研修をしてもらうため、研修開始時のガイダンスの講師,研修中の各診療科との調整、研修医ミーティングでの研修医からの意見収集とそれに基づく研修の改善、研修医との面談の調整、研修修了時の臨床研修報告会の運営など幅広く携わっています。
2021年度まで呼吸器内科のアテンディングであったこともあり、研修医向けの呼吸音聴診レクチャー、動脈穿刺の練習、人工呼吸器のハンズオンセミナーなども行っています。
研修医の皆さん一人一人が充実した研修を行い、それぞれの希望の診療科で活躍できる基礎を構築できるようサポートしていきたいと考えています。
2017年からアテンディングとして本格的に医学教育に携わっていますが、指導した医学生や研修医の先生方が専攻医や大学院生として再び大学に帰ってきて「先生(私)から教わったことを今でも覚えています」、「研修や診療で役に立ちました」と言ってくれたことがあり、とても印象に残っています。
教育の効果はすぐには出ないことや効果が出ているかわかりにくいことも多々ありますが、長期的には医学生や研修医の先生方の知識や経験として患者さんに還元されているので、とてもやりがいのある仕事だと思っています。
大学病院ではベテランの先生から専攻医の先生のような研修医にとって身近な先生まで幅広い指導者がたくさんいることが第一に挙げられます。特にアテンディングドクターという各診療科における教育を担当する専任医師もいます。アテンディングドクターは日々の指導だけでなく、研修医に役立つレクチャーや研修および将来の相談なども担当しており、最新の知識だけでなく、優れた臨床推論、熟練した手技など市中病院とはまた異なった学びがたくさん得られます。また、診療科も一通り揃っているとともにローテートする診療科の変更にもフレキシブルに対応できるので希望に合わせた研修が組み立てやすいです。さらに大学病院でないとなかなか経験できないような症例や学術活動も積極的に行っており、学会発表だけでなく、論文執筆などに挑戦している研修医の先生もいます。
大学病院ということで専門性の高い症例が多いのは確かですが、千葉県内外の協力病院と連携してCommon Diseaseや救急外来の経験も可能となっており、プライマリケアから専門性の高い診療まで幅広い研修ができます。
当院の研修に興味がある医学生、研修医の先生はぜひ見学に来てください。
看護師の生涯学習支援を担当しています。看護師がそれぞれに持っている能力を発揮できるよう、キャリア支援や学習支援体制の整備、学生の実習支援を行っています。
また、すべての職員と学生さんにとって、よりよい学習環境となるよう体制整備に取り組んでいます。
新人看護師は、明るく前向きで、患者さんはもちろん先輩看護師も元気をもらっています。
「一人前になりたい」という思いが強く、まじめに一生懸命に取り組んでいるので、休むことも仕事になっている様子が伺えます。医療という職場環境に適応するのは簡単ではないと思いますが、仲間の力を借りながら「看護が楽しい、やりがいがある」と思えるところまで頑張ってほしいと思いながら支援しています。
医療の世界もDXが推進され変化していきますが、看護の本質は普遍です。今、持っている看護実践能力を磨き続けていくことでいつでもどこでも活躍できる職業です。ワークライフバランスを大切に一人一人自身にあった働き方をみつけて、生き生きと働き続けてほしいです。
看護師育成のよいところは、初心者について社会人として看護師としての成長を誰もが支援できる体制が確立していることです。変化していることは、経験学習プロセスを重視してOJTを活性化していることです。支援する側もされる側も互いに学びを促進し、より効果的な人材育成を目指しています。
私は内科医として数年間勤務した後、米国のコロンビア大学院に留学し、ナラティブ・メディスンという学問を勉強してきました。ナラティブ・メディスンとは、患者さんの主観的な病いの経験を全面的に尊重し、医療者と患者の関係性の中に新しい物語を創造していくことを重視する医学・医療の行動論です。医学と人文学を架橋する位置付けにあり、哲学や文化人類学、社会学や文学、芸術学、教育学などを幅広く学んできました。特に、レヴィナスの他者論やラウプの口述歴史(ホロコースト生存者の語りの研究)には大変大きな影響を受け、今も研究を続けています。
ナラティブ・メディスンは、学問としての奥深さに加えて、その教育手法も魅力的であり、文学・芸術鑑賞やクリエイティブ・ライティングなどのワークショップが、医療者プロフェッショナリズムの育成やレジリエンスの養成、チーム医療の実践などに効果的であることが報告されています。文学や芸術作品という複雑な他者の世界に向き合い続ける中で、医療者が自分自身に耳を傾けるという経験は、驚くほど多くの発見をもたらします。病いとは何か。生きるとは何か。他者のために働くとは何か。ナラティブ・メディスンの学びを通じて、自己と他者との関係性の中に生まれうる双方向なケアの概念について、理解を深めていただきたいと思います。