千葉大学医学部附属病院 総合医療教育研修センター

看護師特定行為研修

特色

  1. 患者の回復過程に沿って、21の特定行為区分を4つに分類しています。
  2. 経験豊富な医師・薬剤師・看護師がわかりやすく適切な指導を行います。
  3. 研修はe-ラーニングも活用しており、勤務との両立が可能です。
  4. 併設されている医学研究院附属クリニカル・スキルズ・センター(CCSC)において、多様なシミュレータやモデルを活用し、実践に近い技能トレーニングやシミュレーショントレーニングが実施できます。
  5. プログラム間の特定行為や特定行為区分の重複はありません。
    全てのプログラムを研修することで、全ての特定行為を実践できるようになります。

4つの科目群

高度実践看護を担う看護師育成の動向:特定行為

厚生労働省:特定行為に係る看護師の研修制度創設の目的

  • 2025年に向けて、さらなる在宅医療等の推進を図るために、個別に熟練した看護師のみでは足りず、医師又は歯科医師の判断を待たずに手順書により一定の診療の補助を行う看護師を養成し、確保する必要
  • 行為を特定し、手順書によりそれを実施する場合の研修制度を創設しその内容を標準化することにより、今後の在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成していく
目標 2025年までに研修修了者10万人確保
施行日 2015年10月1日
指定研修機関の申請開始日 2015年4月1日

特定行為研修

共通科目:250時間
  • 臨床病態生理学
  • 臨床推論
  • フィジカルアセスメント
  • 臨床薬理学
  • 疾病臨床病態概論
  • 医療安全学
  • 特定行為実践(チーム医療・倫理)

eラーニング(講義・演習)等

区分別科目:766時間(21区分・38行為)

千葉大学病院は4つの科目群に分類

  • クリティカルケア
  • コンフォートケア
  • リカバリーケア
  • ロングタームケア

eラーニング+診療現場での実習

特定行為研修の領域(千葉大モデル)

クリティカルケア(2020年度開講)
区分:6 特定行為:14
循環器関連 一時的ペースメーカの操作及び管理
一時的ペースメーカリード抜去
経皮心肺補助装置の操作及び管理
大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度調整
循環動態に関連した薬剤投与関連 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
持続点滴中のナトリウム、カリウムまたはクロールの投与量の調整
持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
持続点滴中の糖質輸液または電解質輸液の投与量の調整
持続点滴中の利尿剤の投与量の調整
心嚢ドレーン管理関連 心嚢ドレーン抜去
透析管理関連 急性血液浄化療法における血液透析器または血液透析濾過の操作及び管理
動脈血液ガス分析関連 直接動脈穿刺法による採血
橈骨動脈ラインの確保
感染に関する薬剤投与関連 感染がある者に対する薬剤の臨時の投与
コンフォートケア(2021年度開講)
区分:4 特定行為:7
呼吸器(気道確保に係るもの)関連 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
脱水症状に対する輸液による補正
術後疼痛管理関連 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整
精神及び神経症状に係る薬剤投与関連 抗けいれん剤の臨時の投与
抗精神病薬の臨時の投与
抗不安薬の臨時の投与
リカバリーケア(2021年度開講)
区分:7 特定行為:11
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 侵襲的陽圧換気の設定の変更
非侵襲的陽圧換気の設定の変更
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
人工呼吸器からの離脱
胸腔ドレーン管理関連 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更
胸腔ドレーンの抜去
腹腔ドレーン管理関連 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿刺針の抜針を含む)
栄養に係るカテーテル管理
(中心静脈カテーテル管理)関連
中心静脈カテーテルの抜去
創部ドレーン管理関連 創部ドレーンの抜去
血糖コントロールに係る薬剤投与関連 インスリンの投与量の調整
皮膚損傷に係る薬剤投与関連 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整
ロングタームケア(2022年度開講)
区分:4 特定行為:6
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連 気管カニューレの交換
ろう孔管理関連 胃ろうカテーテルもしくは腸ろうカテーテルまたは胃ろうボタンの交換
膀胱ろうカテーテルの交換
栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入)関連 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
創傷管理関連 褥瘡または慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
創傷に対する陰圧閉鎖療法

到達目標

共通科目の到達目標

  1. 多様な臨床場面において重要な病態の変化や疾患を包括的にいち早くアセスメントする基本的な能力を身につける。
  2. 多様な臨床場面において必要な治療を理解し、ケアを導くための基本的な能力を身につける。
  3. 多様な臨床場面において患者の安心に配慮しつつ、必要な特定行為を安全に実践する能力を身につける。
  4. 問題解決に向けて多職種と効果的に協働する能力を身につける。
  5. 医学的視点を学ぶことで、看護的な視点との相違を理解し、看護専門職者としての専門性を発揮した看護について考えることができる。

共通科目シラバス

区分別科目の到達目標

  1. 多様な臨床場面において当該特定行為を行うための知識、技術及び態度の基礎を身につける。
  2. 多様な臨床場面において医師又は歯科医師から手順書による指示を受け、実施の可否の判断、実施及び報告の一連の流れを適切に行うための基礎的な実践能力を身につける。
  3. 医学的視点を学ぶことで、看護的視点と医学的視点を用いて対象の全体像を理解し、看護専門職者としての専門性を発揮した看護過程を展開する。

研修期間

原則1年間

4月~8月:共通科目(講義・演習)

  • e-ラーニングによる講義動画視聴 6科目(各20~40時間)
  • 1~2週間毎の集合研修 約10日間

9月~翌年3月:区分別科目(講義・演習・実習)

  • e-ラーニングによる講義動画視聴+1~2週間毎の集合研修
  • 技術演習
  • 臨床現場での実習

教育研修体制・環境

研修・指導

研修指導は、経験豊富な医師・薬剤師・看護師が担当します。病院職員だけでなく、大学教員とも連携して指導します。

研修場所

  • 研修室(看護師特定行為研修専用)
  • 千葉大学大学院医学研究院附属クリニカル・スキルズ・センター

実習場所

千葉大学病院の病棟、集中治療室、手術部他

協力施設(医療法人社団誠仁会 みはま病院、医療法人社団誠馨会 総泉病院)

演習の様子

  • 共通科目の演習
  • 技術演習
  • OSCE