調剤室・注射室

調剤室

調剤室の基本業務

内服薬(飲み薬)、外用薬(塗り薬、貼り薬、目薬など体の外側に用いるくすり)、自己注射用の注射薬の調剤を行っています。当調剤室では主に入院患者さんが使用する薬を調剤しており、外来患者さんには院外処方箋を発行しております。

外来を受診された方は外来診察室で院外処方箋を受け取り、院外薬局でお薬の交付を受けます。院外処方が認められていない一部の薬剤については院内処方となり、当薬剤部で薬をお渡しします。

調剤室風景

処方鑑査(安全な薬物治療のために)

医師が電子カルテに入力した処方箋のデータを薬剤部で出力し、薬剤師が処方内容の鑑査を行います。用法・用量、相互作用や重複薬の有無などをチェックしています。その際、処方内容について疑問点がある場合には、処方医に確認した上で調剤します(薬剤師法第二十四条:処方せん中の疑義)。散剤、軟膏や水剤の混合では安定性などを確認し薬効が十分に保たれるようにしています。処方内容の鑑査が終わったら調剤を行い、調剤ミスがないように別の薬剤師が最終鑑査を行います(ダブルチェック)。

さらに安全で安心な薬物治療への取り組み

調剤室の取り組みとして、薬物治療の質的向上への貢献、リスクマネジメント、業務効率化などの業務改善を継続的に行っています。特に、24時間稼働していて薬剤師の目が必ず通る、という調剤業務の特徴を生かし、禁忌となる薬剤が患者さんに使用されることを防ぐための取り組みを行っています。

2011年11月から院内処方箋に患者さんのアレルギー情報と必要な検査値を印字しており、これにより禁忌薬剤の投与防止、腎機能に応じた投与量の適正化を図っております。本取り組みを院外処方箋にも反映させ、院外処方についても薬物治療の個別最適化を推進できるように取り組んでいきます。

刻み生薬を用いた漢方薬の調剤

抗がん薬には飲み薬もあり、通院しながらの治療には重要な役割を果たします。錠剤やカプセル剤だけでなく、錠剤を粉砕や散剤を用いて調剤することもあります。当調剤室には安全キャビネットに類似した散薬調整ユニットを設置しており、安全に調剤するとともに、調剤した薬を扱うご家族等にも安心して使用いただけます。

内服の抗がん薬の調剤

近年、漢方薬はエキス製剤の使用が主流となっています。エキス製剤は生薬から抽出された成分を濃縮し凍結乾燥された粉薬や錠剤で、製薬会社によって製造されます。当院には和漢診療科があり、漢方の専門の医師が患者さん一人一人を診て、きめの細かい調整を行います。当調剤室では、生薬の配合し煎出することで患者さんにあった漢方薬の調剤を行っています。

調剤業務の機械化を推進

2025年度には、散薬調剤ロボットや画像認識による錠剤鑑別機などの導入を予定しており、調剤業務の自動化と薬物治療の安全性向上を更に推進します。

注射室

注射室の基本業務

注射室では、入院患者さんおよび外来患者さんの注射処方箋にもとづく注射剤調剤および注射剤の混合調製を行っています。薬剤師が注射処方に関与することで、注射剤を用いた薬物治療の有効性と安全性を高めることができます。また、安全で安心な薬物治療を提供するため、薬物治療の質的向上への貢献、リスクマネジメント、業務効率化などの業務改善に継続的に取り組んでいます。

注射剤調剤業務

医師が発行した処方した注射剤に対し、薬剤師が薬学的な観点から鑑査を行います。具体的には、投与量・投与速度・投与経路・投与間隔・相互作用・配合変化などを確認しています。一部の医薬品では臨床検査値に基づいた禁忌の確認や、腎機能等に応じた投与量の確認を行うなど、患者さん一人ひとりの状態に合わせた処方鑑査を行っています。処方内容に疑問点がある場合は、患者さんの最新情報を把握している病棟担当薬剤師や診療科担当薬剤師と密に連携し、疑問点の解決に努めます。疑問点が解消されない場合、あるいは処方に問題点がある場合は、薬学的な視点からの代替案や解決策を提案したり、情報提供したりしています。その際は直接医師に伝えるだけでなく、病棟担当薬剤師や診療科担当薬剤師へ伝達し、より専門的な薬学的見地をもとに、医師へよりよい処方提案や情報提供となるよう、連携して業務を行っています。

医薬品の取り揃えには注射剤自動払出装置を導入しています。当院の払出装置にはバーコード照合により医薬品の取り違いを防ぐ機能が搭載されており、取り揃え業務における効率化だけでなく安全性の確保も実現しています。これらの調剤機器類の活用により、薬剤師が処方鑑査や処方提案といった、より高度な薬学的判断が求められる業務に一層注力できる体制を整えています。

入院患者さんに対して使用する注射剤の供給時には、抗生物質と点滴のボトルなど、一緒に使用する注射剤を1投与分ずつセットにして供給しています。これにより、病棟での注射薬の取り違えといったインシデントを未然に防ぎ、患者さんの薬物治療の安全性を確保するという重要な役割を担っています。

これらの注射剤調剤業務は、平日のみでなく、夜間や休日も継続的に実施しています。予定された注射剤の使用の際だけでなく、緊急時においても有効で安全な薬物治療が提供できるよう、薬剤師が積極的に関与しています。

注射剤混合調製業務

注射室では、中心静脈栄養(TPN)や抗がん剤など、特に厳格な衛生管理と専門的な技術が求められる注射薬の混合調製を担っています。

これらの調製は、細菌などによる汚染を防ぐための高度な無菌操作技術はもちろん、特に抗がん剤の場合は、取り扱う薬剤師自身を守るための曝露対策も必要となります。薬剤師の専門知識と技術を活かし、患者さんに投与される注射薬の品質と安全性を確保しています。

抗がん剤の混合調製においては、抗がん薬混合調製ロボットを導入しています。ロボットを活用することで、薬剤師の抗がん剤曝露を低減できるだけでなく、精確な調製が可能となります。

抗がん剤調整

教育・研修体制

注射室では、薬剤師一人ひとりが着実に成長できる教育環境を整えています。経験豊富な先輩薬剤師が業務内容に応じて最適な指導を行い、専門的な調製業務の前には講義や実技指導を、高度な判断が求められる処方鑑査ではダブルチェックと丁寧なフィードバックを徹底しています。一人ひとりが安心して実践力を高められるよう、万全の体制でサポートします。

薬学生の実務実習

注射室では、薬学生が大学の講義や教科書で学んだ知識が、実際の患者さんの薬物治療につながっていく過程を現場で実感できる貴重な機会を提供しています。医薬品の有効性と安全性を確保するために、薬剤の安定性や配合変化といった専門知識がいかに重要であるかを実践的に学び、適切に判断する力を育んでいます。

薬剤師レジデント研修

薬剤師レジデントの研修では、段階的な研修プログラムを用意しています。注射室でのサポート体制のもと、基本的な業務から専門的な調製・処方鑑査まで一つひとつの業務を確実に習得し、臨床薬剤師としての実践力を高めていきます。