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アレルギー発症予防

アレルギーマーチとは?

乳幼児期のアレルギーは、成長するにつれて、いろいろなアレルギー症状が出たり消えたりして続いてしまうことがあります。これをマーチ(行進曲)にたとえて「アレルギーマーチ」と呼んでいます。もちろん個人差があり、みんなが同じ経過をたどるわけではありません。また、成長によって自然によくなることもあります。

食物アレルギーを引き起こす原因と考えられているもの

アレルギー疾患(アレルギーマーチ)を撲滅するために・・・
~いま私たちができること~

1. 出生後、早期からのスキンケア

【参考資料】
・千葉大学公式チャンネル_千葉大学医学部附属病院_周産期母性科
・株式会社ナチュラルサイエンス_「基肌育BOOK」/ベビースキンケアガイド

2. 赤ちゃんのビタミンDの摂取

ビタミンDの役割は?

ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にします。アレルギーなどの免疫の病気との関連も注目されています。
しかし、多くの日本人はビタミンDが不足!
赤ちゃんがビタミンD不足になると、カルシウムやリンが不足して「ビタミンD欠乏性くる病」になる可能性があります。

骨の変形などにより、歩行開始が遅れるなどの支障が出てきます。

※くる病となる原因にはいろいろあり、鑑別診断が重要です。原因の診断は難しいこともあるので、専門医を受診することをおすすめします。

ビタミンDを摂るには?

ビタミンDは、太陽の紫外線を浴びることで皮膚の中で生成されます。日光は、ビタミンDの生成にとって大切ですが、一方で、皮膚トラブルを避けるため、紫外線から皮膚を守ることも大切です。

ビタミンDは魚介類やきのこ類に多く含まれています。ビタミンDは腸でのカルシウムの吸収を促進させるため、一緒に摂取することでカルシウムの吸収が高まります!

  • 実は・・・
  • 粉ミルク母乳にもビタミンDが含まれています。

  • でも・・・
  • 粉ミルクの摂取量が少ない場合や母乳に含まれるビタミンDが少ないことで、ビタミンDが足りないこともあります。

乳児用ビタミンDサプリメントの摂取をオススメ!

【参考資料】
・一般社団法人 日本小児内分泌学会ホームページ_1)ビタミンD欠乏性くる病
・国立研究開発法人 国立環境研究所_体内で必要とするビタミンD生成に要する照時間の推定
 ―札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要―
・皮膚科Q&A_日本皮膚科学会
・厚生労働省_「統合医療」に係る情報発信等推進事業

3. 離乳食の開始

離乳食の開始のタイミング

離乳食の開始を遅らせることは、食物アレルギーの予防には効果がないことがわかっています。
目安は生後5~6ヶ月で、次のような様子が見られたら開始しましょう♪
ただし、月齢は目安なので、お子さんの発育や発達に合わせましょう。
また、湿疹があるお子さんでは食物アレルギーのリスクが高いことが知られているため、離乳食開始前に湿疹がある場合は、医療機関を受診して皮膚症状の改善を行い、開始時期について相談しましょう。

  • 首のすわりがしっかりしている
  • 支えてあげると座れる
  • 食べ物に興味を示す
  • スプーンなどを口に入れても、舌で押し出すことが少なくなる
離乳食の進め方
  • 食物アレルギーの原因となりやすい食物(卵など)を食べ始める時期を遅らせることは、食物アレルギー発症のリスクとなることがわかっています。
    月齢ごとに適切な内容、量の食材を摂取していくことが望ましいです(食材ごとのポイント参照)。
    食物アレルギーを疑う症状が出た場合は、自己判断せず、必ず医師の診断を受けてから進めましょう。

食材ごとのポイント

食材ごとに、離乳食の進め方とポイントを以下にまとめています。

離乳食初期(5~6ヶ月)に、白身魚、豆腐、などとたんぱく質性食品に慣れたら、卵黄を始めます。
卵黄は固ゆで卵(20分ゆでる)の卵黄のみを耳かき1杯から与え、問題なければ徐々に増やしていきましょう。卵のアレルゲンは加熱によって弱くなるため、十分な加熱調理が必要です。

卵ボーロは製造の工程から白身が含まれている可能性があるため、卵白が食べられることが確認できてから与えるよう注意しましょう。

  • 離乳食初期 5~6ヶ月頃
    卵黄1さじ→漸増
  • 離乳食中期 7~8ヶ月頃
    卵黄1個→全卵1/3個
  • 離乳食後期 9~11ヶ月頃
    全卵1/2個
  • 離乳食完了期 12~18ヶ月頃
    全卵1/2~2/3個

離乳食中期(7~8ヶ月)に、ヨーグルトや牛乳、塩分の少ないカッテージチーズなどを始めます。牛乳を飲用として摂取する適切な時期は1歳以降なので、この時期は料理に使用し、加熱して与えましょう。

  • 離乳食初期 5~6ヶ月頃
    育児用ミルク以外は与えません
  • 離乳食中期 7~8ヶ月頃
    プレーンヨーグルト50~70g
    牛乳(料理に使用)50~70ml
    カッテージチーズ 大さじ1弱
    スライスチーズ 1/3枚
  • 離乳食後期 9~11ヶ月頃
    プレーンヨーグルト80g
    牛乳(料理に使用)80ml
    カッテージチーズ 大さじ1.5
    スライスチーズ 2/3枚
  • 離乳食完了期 12~18ヶ月頃
    プレーンヨーグルト100g
    牛乳(料理に使用)100ml
    カッテージチーズ 大さじ2弱
    スライスチーズ 1枚弱

小麦製品は6ヶ月以降に与えましょう。初めは、塩分の含まれない赤ちゃん用のうどんやそうめんが、おすすめです。食パンには卵が含まれる場合もあるので、含まれる商品については卵が摂取できることを確認してから与えるようにしましょう 。

  • 離乳食初期 5~6ヶ月頃
    つぶしがゆ1さじ~
    ※小麦製品は6か月以降に1さじ~
  • 離乳食中期 7~8ヶ月頃
    全粥50~80g
    食パン15~20g
    うどん(茹)35~55g
    そうめん(乾)10~15g
    コーンフレーク10~15g
  • 離乳食後期 9~11ヶ月頃
    全粥90g~軟飯80g
    食パン25~35g
    うどん(茹)60~90g
    そうめん(乾)20~30g
    コーンフレーク15~25g
    パスタ(乾)15~25g
  • 離乳食完了期 12~18ヶ月頃
    軟飯90g~ご飯80g
    食パン40~50g
    うどん(茹)105~130g
    そうめん(乾)30~40g
    コーンフレーク30~35g
    パスタ(乾)30~35g
    中華蒸し麺55~70g
  • 離乳食初期 5~6ヶ月頃:1さじ→10g
    かつおだし
    白身魚・しらす干し
  • 離乳食中期 7~8ヶ月頃:10~15g
    かつお節
    白身魚・しらす干し
    鮭・赤身魚
  • 離乳食後期 9~11ヶ月頃:15g
    かつお節
    白身魚・しらす干し
    鮭・赤身魚
    青魚・貝類
  • 離乳食完了期 12~18ヶ月頃:15~20g
    かつお節
    白身魚・しらす干し
    鮭・赤身魚
    青魚・貝類
  • 離乳食初期 5~6ヶ月頃
    まだ食べさせません
  • 離乳食中期 7~8ヶ月頃:10~15g
    鶏ささみ肉
    鶏むね肉・鶏もも肉
  • 離乳食後期 9~11ヶ月頃:15g
    鶏ささみ肉
    鶏むね肉・鶏もも肉
    牛赤身肉・豚赤身肉・レバー
  • 離乳食完了期 12~18ヶ月頃:15~20g
    鶏ささみ肉
    鶏むね肉・鶏もも肉
    牛赤身肉・豚赤身肉・レバー
    牛豚合びき肉
  • 離乳食初期 5~6ヶ月頃
    豆腐1さじ~25g
    豆乳1さじ~大さじ2
    きな粉少々
  • 離乳食中期 7~8ヶ月頃
    豆腐30~40g
    豆乳40~50ml
    きな粉少々
    納豆10~15g
  • 離乳食後期 9~11ヶ月頃
    豆腐45g
    豆乳80ml
    きな粉少々
    納豆18g
    水煮大豆20g
  • 離乳食完了期 12~18ヶ月頃
    豆腐50~55g
    豆乳90ml
    きな粉少々
    納豆20g
    水煮大豆25g
  • 離乳食初期 5~6ヶ月頃:1さじ→計10g
    野菜:南瓜、人参、トマト、ほうれん草、ブロッコリー、大根、なす、キャベツなど
    果物:りんご、いちご、みかん、ぶどうなど
  • 離乳食中期 7~8ヶ月頃:計20~30g
    のり、ひじきなどの海藻も始める
  • 離乳食後期 9~11ヶ月頃:計30~40g
    きのこも食べやすく調理して始める
  • 離乳食完了期 12~18ヶ月頃:計40~50g
食品の進め方(PDF形式、513KB)

【参考資料】
・厚生労働省_授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定)
・一般社団法人 日本小児アレルギー学会_食物アレルギー診療ガイドライン2021
・厚生労働省研究班_小児のアレルギー疾患保健指導の手引き
・主婦の友社_食物アレルギーをこわがらない!はじめての離乳食

●アレルギー発症予防のための健康増進プロジェクトチーム

千葉大学病院 小児科 プロジェクト代表医師 中野
アレルギーセンター 石井・桐谷・池野
臨床栄養部
事務局 小野

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