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2020/01/17

第5回 包括的せん妄ケアチーム

今年度は、専門医療チームの活動のなかでの看護師の役割などをご紹介頂きます。

第5回 包括的せん妄ケアチーム

皆さんは、「せん妄」という言葉を聞いたことがありますか?「せん妄」になると、時間や場所がわかりにくくなったり、幻覚が見えたり、話のつじつまがあわなくなるなどの症状がでます。全身の状態が悪くなると、せん妄を発症しやすくなります。せん妄を発症すると、その後の回復に影響を来すこともあり、全身状態の管理とともに、せん妄発症の予防、発症後のケアは、患者さんが回復していく上で非常に大切なケアです。

千葉大学病院には、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・臨床心理士など、多職種で構成される包括的せん妄ケアチーム(せん妄ケアチーム)があります。金曜日を定期の病棟ラウンド日とし、せん妄を起こしている患者さんの元をラウンドします。病棟の医師、看護師と患者さんの状態を共有し、薬剤の調整や患者さんの苦痛や不安を取り除くためのケアの相談、ご家族への支援について話合います。また、せん妄を予防するための介入についてもコンサルテーションを受け介入しています。

また、せん妄ケアチームは、「せん妄ケアマニュアル」を作成し、2019年3月に完成しました。このマニュアルは、特に「せん妄を予防する」ことを主軸におき、せん妄を起こしそうな患者さんに対し、多職種チームで協働してせん妄予防ケアを実践していくためのマニュアルです(もちろん、発症後のケアについても述べています)。

さらに、せん妄ケアの質を向上させるために、せん妄ケアチームは、病棟への出前研修も実施しています。病棟の多職種が集まり、事例をもとに、せん妄ケアマニュアルを使いながらせん妄予防ケアについて話し合います。せん妄ケアチームメンバーはファシリテータとして参加します。せん妄予防について知識を深めながら、病棟の多職種各々が役割を意識してせん妄予防ケアにとりくめるように啓発しています。

せん妄は、患者さんにとって苦痛を伴う体験であるともいわれています。せん妄ケアチームは、せん妄発症予防からせん妄発症後のケア、専門的なせん妄への対応技術の提供、せん妄ケアの教育などを行い、患者さんが一日も早く心身ともに回復できるよう、部署の多職種スタッフと協働し、せん妄予防ケアを行っていきます。

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