千葉大学医学部附属病院 検査部
Division of Laboratory Medicine, Chiba University Hospital
 
検査部長より

臨床検査の重要性

 病気を診断するために、患者さんの症状を詳しくお聞きし(問診)、外から手で触れて例えば腫瘍があるかどうかを知り(触診)、聴診器で肺やお腹の中の音を聞くこと(聴診)が中心に行われてきました。今でもこれらが大切であることはもちろんですが、多くの病気を出来るだけ早期の無症状の時期に発見し、適切に治療することを目指す現在の医療は、臨床検査なしには行えません。さらに近年では、一部の病気では、発症の予知や予防ができるようになっています。臨床検査はこのように、病気を診断のみならず病気になる前にも役立ちます。

検査部の日常業務

 当院の検査部の日常業務は大きく中央採血室の採血業務、血液・尿などを用いる検体検査、心電図・脳波・肺活量などをみる生理機能検査・超音波検査、感染症の診断や感染症関連情報の提供、遺伝子検査に分けられます。これらの検査部署に約50名の臨床検査技師が所属し、正確・精密な検査結果を24時間体制で迅速に提供しています。大学病院の検査部の第一の役割として、日常の検査を最高のレベルで行うことはもちろんですが、私達は検査の専門家として検査結果を適切に判断し、必要に応じて診療側に次の一手を提示することも必要と考え、検査部の医師と臨床検査技師が連携して検査部からの新しい情報発信の姿を追い求めています。当院の検査部は平成28年3月に国際的な検査室の基準であるISO15189の認定を取得しました。ISO15189は国際的な臨床研究を行う際にも必要です。

新しい検査法の開発

 いかに検査が進歩したとはいえ、まだまだ超早期診断や鑑別診断(複数の病名が候補としてあげられる場合にそれらを区別して最終的に一つの病名に絞り込むこと)のために満足できる検査がない場合も少なくありません。したがって大学病院の検査部の重要な使命として新しい検査法の開発があげられます。現在もさらに新しいマーカーを追い求めています。50年後、100年後にも使われているようなMade in Chibaの新しい検査法を1つでも多く開発し、診療の場で役立てて頂くことが我々のミッションと考えています。

学生教育と社会貢献

 大学病院の使命は診療・研究・教育・社会貢献とされています。検査部では上記の診療・研究に加えて、医学部の学生や、検査技師養成大学からの実習生に対して 「鉄は熱いうちにうて」の通り、臨床検査の重要性をしっかり次の世代に伝えることにも力をいれています。また社会貢献の一つとして千葉県内の病院や検査機関との情報交換を通して千葉県全体の臨床検査レベルの向上にも貢献しています。保健所と協力して千葉県内の多くの衛生検査所の精度管理なども定期的に行っています。日本臨床検査医学会の認定する認定研修施設にも登録されています。

遺伝子診療部の活動

 千葉大学病院の検査部のもう一つの特徴は遺伝子診療部と検査部遺伝子検査室が緊密に連携していることです。遺伝子診療部では、1)ご自身やご家族の病気と遺伝の関係を心配されている方への遺伝カウンセリングの実施、2)病気を確実に診断するため、あるいは将来の発病を予測するための遺伝子検査の実施と結果の説明、を行っています。受診方法はこちらをご参照ください。

千葉大学医学部附属病院
検査部長・診療教授
松下 一之