学生・若手医師の皆さまへ

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ご挨拶

感染症の現場は、「若い世代」を求めています

日本全国の感染症専門医は1621人です。(日本感染症学会) 毎年専門医試験(私もその委員を担当)の、受験者数は100人前後です。(各都道府県に2人程度) 合格率が低いのではなく、受験者が少ないのです。ぜひ、若い世代の力がほしいと思っています。

新型コロナウイルス感染症の流行拡大によって、感染症に従事する医師・看護師の活動がたくさん取り上げられました。感染症の怖さもあります。その一方で、感染対策を理解し、実践することが医療現場に求められています。優先されるのは、医療安全・感染対策であり、「感染症専門医」の出番です。科学的に証明された方法であること(根性や使命感ではありません)、そして、病院スタッフから信頼されるリーダーシップが求められます。

千葉大学医学部附属病院では、感染制御部・感染症内科が中心となり、病院内の多くの部門の支援のもと、新型コロナウイルス感染症の診療を行って参りました。特に、ECMO(人工心肺装置)、人工呼吸器などの集中治療を要する重症患者、透析・妊婦など特別な対応を求められる患者、を積極的に受け入れることで、千葉県内の医療機関からの信頼を獲得してきました。

感染制御とは、「院内感染対策」、「多剤耐性菌対策」、「抗菌薬の適正使用」を行うことが活動の根幹です。医療安全の一端を担うものであり、診療・教育(研修)・研究を通して、患者さんに安全な療養環境を提供するための努力を続けています。ここには、派手さはありません。

千葉大学医学部附属病院の感染症の診療は多岐に渡っています。耐性菌などの難治性感染症の相談、HIV感染症の診療、深在性真菌症の診療、第二種感染症医療機関としての結核診療など感染症全般を網羅しています。特筆するのは、千葉大学真菌医学研究センターの臨床研究部門の亀井教授が参加する真菌症専門外来を開設していることです。

新型コロナウイルス感染症を契機に、感染症の診療と感染対策の重要性が認識されました。衣食住のあらゆる日常が一変してしまいました。感染症の診療と感染対策は、「人間らしい生活」を送るためのセイフティネットであると思います。

科学の力で、新型コロナウイルス感染症が終息することを期待しています。しかし、人間の歴史は感染症との戦いです。今後も、新たな感染症が出現してくる可能性があります。私たちの使命は、感染症の診療と感染対策を積極的に行うことです。こうした活動を通して、国民が生命の危機に晒されないようにすること、病院に入院しても安心して医療を受けられること、平穏な日常を送れるようにすることに努めて参りたいと思います。そのために、必要なのは「若い世代」の人材です。感染症に関心のある方、是非、千葉大学医学部附属病院での研鑽をご検討ください。