千葉大学病院
感染制御部・感染症内科
真菌症専門外来は真菌(カビ)により、主に内科領域(内臓)の病気にかかった患者さんの診断や治療を専門とする診療科で、日本ではまだこのような専門外来はとても少なく、千葉大学感染症内科の特色の一つともいえます。具体的には、カビが内臓に入り込んでしまう「感染症」や、カビが内臓に居座ってしまって起きる「アレルギー疾患」を取り扱います。必要に応じて呼吸器内科、呼吸器外科などの先生方と密接に連携をとりながら診療を進めていますが、内科系以外の感染症の場合は、皮膚科,耳鼻科,眼科といったそれぞれの診療科を中心として、必要に応じてサポートさせていただいています。
カビは、患者さんの免疫能が弱っていたり臓器に傷んだ部分があったりすると内臓に感染しやすく、日本では医療の進歩や社会の高齢化に伴ってカビによる感染症が急増しています。世界中に数多くの患者さんがおられますが、日本ではこれまで比較的患者さんが少なかったことから、専門家の数は限られていました。このため見逃されていたり治療に苦労していたりする例も少なくないようです。カビは人にとても近い生物で、普通の細菌に比べると特効薬も少なく、一度内臓に感染すると診断も治療が難しい手ごわい病原体です。根気よく粘り強い治療が大切となることもしばしば見られます。
また、海外には日本より遙かに毒性が強く、健康な人でも簡単に感染して重症化するカビが多く存在します。これらによる感染症を輸入真菌症と呼びますが、これらの輸入真菌症は多くの日本の医師にとって馴染がなく、診断も治療も特に難しい病気です。千葉大にはこのような病気に対しても豊富な経験があり、患者さんの状況に応じて対応しています。
なお、皮膚,目,鼻,耳などに限られた真菌症では、まずそれぞれの診療科を受診いただき、必要があれば当科がサポートを行ないます。
千葉大には1987年に設立された世界最高レベルの真菌症の研究所(千葉大学附属 真菌医学研究センター)があります。感染症内科ではこの研究所と協力して真菌症専門外来を設置し、他では出来ない特殊な検査による詳細な診断に基づいて最も適切な治療を選択するように心がけています。外来には全国各地から患者さんがお見えになりますが、患者さんが来られない場合には、主治医の先生から直接相談が寄せられており、それらは日本中の病院から年間500件あまりに達しています。