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メッセージ

清野 宏

千葉大学医学部附属病院
ヒト粘膜ワクチン学部門 卓越教授(部門長)
清野 宏

 私達は、ヒトの体を守るシステムを理解する『免疫学』の中で、口や鼻から始まる消化器や呼吸器の広大な粘膜面に免疫機構が存在することを証明し、『粘膜免疫学』という新領域創生に関わり、『粘膜免疫の神秘』の解明基盤を駆使した感染症や各種疾患の新規予防・治療法として期待されている『粘膜ワクチン』によるグローバルな健康社会創出、つまり、「ワクチンによるエスディジーズ(SDGs)持続可能社会」と「安全・安心なワクチン接種社会」を目指しており、その『夢』の実現をお追い続けています。

私達『粘膜免疫学研究チーム』は、約20年間お世話になった東京大学医科学研究所より、千葉大学医学部附属病院へと移動し、塩野義製薬との共同研究部門である新生『ヒト粘膜ワクチン学部門』(Department of Human Mucosal Vaccinology)として粘膜ワクチンの実用化に向けて出発いたします。さらなる研究活動に取り組み、粘膜免疫学を基盤とした「飲むワクチン・吸うワクチン」による腸管・呼吸器感染症予防という、 医科学研究の最終目標である「世の中の人の役に立つ」 というステージに到達するために、現在も日々たゆまない努力で邁進しています。

 私達研究室のモットーは『ポジティブ思考と継続する力』です。私は、大学卒業後直ちにアメリカへ留学する機会をいただき、医学系大学院に入学・研鑽し、粘膜免疫学に魅了され研究に没頭してきました。半世紀近い長い研究生活の間、実験で多くの失敗も経験し、長いトンネルをさまよっていた時期もあります。そのような時も、「その先には輝く未来がある!」と漠然とした希望を持ち、恩師であるJerry R. McGhee先生の”No problem!(大丈夫ダヨ、何とかなるさ!)”という言葉と自分の楽天的ポジティブ思考にいつも助けられて来たのです。そして、決して諦めず、その紆余曲折の継続が、沢山の国内外の有能な仲間にめぐり逢う幸運をもたらし、彼ら・彼女らの貢献と協力なくして今日迄の私達の研究開発軌跡やそれに基づいた新生『ヒト粘膜ワクチン学部門』での研究開発の継続的発展はありえないと言っても過言ではありません。その素晴らしい仲間達との日々の研究開発が純粋に楽しく、また、さらなる研究への探求心を限りなく駆り立てられてきたのです。

 大学という自由な環境の中で、英知に長けた素晴らしい仲間達と一緒に知的発想と好奇心に始まった研究に没頭する事が出来、粘膜免疫学についての研究成果を発信し続けてきました。また同時に、将来さらなる研究成果を生み出す「若手研究者の育成」にも力を入れてきました。当研究室から多くの研究者が独立を果たし、卒業生たちもアメリカやヨーロッパそしてアジアの国々の研究室で、またグローバル企業において目覚ましい活躍を遂げています。このように、 当研究室で培った研究基盤と研究理念を胸に、より高みを目指し力強く羽ばたいていく卒業生たちを送り出すことは、限りなく大きな喜びであり、「粘膜免疫学と粘膜ワクチン学」を通して、次世代を担う研究者を今後も継続して多数輩出することに尽力していきます。

 私自身、そして研究室の皆が、粘膜免疫学に立脚した次世代型粘膜ワクチン開発に向けて努力を続けていく所存です。私達と一緒に、粘膜免疫学の神秘に触れ、そしてさらなる解明を成し遂げ、「粘膜ワクチン」を駆使した新しい病気の予防、治療法の開発研究も試みてみたいと思われる方は、是非、研究室を訪ねて来てください。粘膜免疫学・粘膜ワクチン学ワールドが貴方達を待っています!