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【連載】麻木久仁子さんインタビュー vol.2

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病気とともに日常を生きる

麻木久仁子さんが語る、これからの「健康」のかたち vol.2

 

 

2025年11月30日に開催された第10回県民公開講座「心臓と脳―未来の健康を守るヒント―」では、スペシャルゲストとしてタレントの麻木久仁子さんが登壇。48歳で脳梗塞を経験し、その後、乳がんの治療とも向き合ってきた麻木さん。自身の体に起きた変化をきっかけに、健康との距離感や生き方に対する考え方は少しずつ変わっていったといいます。発症当時の状況やその後の検査、生活習慣を見直すきっかけとなった出来事について、率直な思いを語っていただきました(全3回②)。

 

麻木久仁子(あさぎ・くにこ)

1962年11月12日、東京都生まれ、学習院大学法学部中退。知性派タレントとしてクイズバラエティ番組を中心に出演する他、司会、コメンテーターとしても活躍。2010年に脳梗塞、2012年に初期の乳がんが見つかったことから、検診の大切さや自身の体験を、講演会や情報番組などで伝えている。

 

健康と病気は分けられない

麻木久仁子さんが気づいた「日常の中の病」

 

自分の脳梗塞と乳がんの治療、さらには母の心臓の手術に脳梗塞。振り返ると、5〜6年の間に、私自身と家族の身にさまざまな出来事が立てつづけに起きていました。特に母のことをきっかけに、私は「健康と病気の境目」について、改めて考えるようになりました。

 

たとえば戦前や昭和初期、日本の平均寿命は50歳前後。その頃は、感染症や戦争で命を落とす人が大半でした。しかし今、日本人の三大死因は脳、心臓、がんです。これは悲観すべき変化というよりも、寿命が伸び、血管に疾患が起きるまで、あるいはがんが発症するまで生きられるようになった結果だとも言えます。そう考えると、かつてのように「健康=日常」「病気=非日常」と、はっきりと線を引くこと自体が、今の社会には合わなくなってきているような気がします。

 

60代、70代になれば、腰が痛い、糖尿病が進んでいる、白内障がある、がんのサバイバーである──何かしらの不具合を抱えているのが、ごく当たり前になります。でもそれは「病気だから非日常」ということではありません。

 

今は、がんでも通院治療が一般的になり、高血圧や生活習慣病も、うまくコントロールしながら生きていく時代です。治療を受けながら生活を続け、仕事をし、人と会い、日々を重ねていく。治る・治らないではなく、その状態とどう付き合いながら生活の質を維持していくか。言い換えれば、寿命が延びた分、健康と病気の間にあるグレーゾーンが長くなった。そして、私たちが生きている時間の多くは、そのグレーゾーンの中にあるのだと思います。だからこそ、「自分の疾患や不具合とどう付き合いながら、良い日常を一日でも長く続けていくか」が、とても大切になってきているとも言えます。

 

最近よく耳にする「健康寿命」という言葉も、まさにその発想を表しているのではないでしょうか。ある時点まで元気で、そこから急に終わるわけではない。ゆるやかなグラデーションの中で、どう生きるか。

 

医療が進み、日本社会が努力を重ねてきたからこそ、私たちは“次の人生”を考える時間を持てるようになった。恐れすぎることなく、専門家の力を借りながら、自分なりのペースでセカンドライフを歩んでいける社会であってほしい。そんなふうに思っています。

 

vol.3につづく

 

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