千葉大学大学院医学研究院
耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学
千葉大学病院
耳鼻咽喉・頭頸部外科
2024年11月からカリフォルニア大学サンディエゴ校のMoores Cancer Centerで、頭頸部癌に対する新たな治療開発研究に従事しています。元々英会話に対する苦手意識もあり留学とは縁がないと考えていましたが、国内の特に大学病院における研究環境の出口の見えない閉塞感、海外の優れた医薬品等が日本国内では開発すらされないというドラッグロスの問題を、より広い視点で見つめなおすことでその解決のヒントを得られないかと留学にチャレンジしました。現在の研究室では基礎的知見を臨床に還元するというゴールに向けて、米国内だけでなくインド、イラン、ドイツ、韓国から集まった若い研究者と共に、日々更新されるデータを共有・議論しながらスピード感のある研究開発環境でトレーニングをしています。不安視していた英会話では苦労することも多いですが、諦めと開き直り、そして何より語学力の前提となる自分の考えをもつことの重要性を肌身をもって理解することができています。これだけでも留学に来た意味は大きかったと言えます。こちらでは研究者間の文化・言語・知識などバックグラウンドの違いが大きいと感じます。だからこそ、互いの専門性や視点の違い、不足点を寛容し補い合う「ご近所での助け合い」のようなどこか温かくて懐かしくもあるコラボレーションがあちこちで生まれています。このコラボレーションへのハードルの低さ、あたたかさ、スピード感が研究の推進力になっていると感じています。自分の中にある潜在的な「ニガテ」や「安全地帯」から一歩踏み出すことは勇気とエネルギーが必要なことですが、新たな世界に触れられることは刺激的で幸せな時間だなと日々感じています。このようなチャンスを得るには日本での職場の理解、先輩方からのアドバイスや人の繋がりが欠かせません。快く私を送り出してくださり、いつも温かくエールを送ってくださる千葉大耳鼻科の先生方にこの場をお借りして感謝申し上げます。
2019年7月よりカナダ、トロントにありますPrincess Margaret Cancer Centre内の平野直人先生の元でpostdoctoral fellowとして働かせていただいております。当研究室では、CARやTCRを使った腫瘍免疫を中心に非常にやりがいのある研究をしております。初めての海外生活であり、研究室での生活はもちろん日常生活でも緊張の絶えない毎日ではありますが、全てが新しく学ぶべきことの多い充実した日々を送っております。このような貴重な機会をいただきましたことに感謝するとともに、一つでも多くのものを身につけられるように日々精進していきたいです。