病態・治療に関する説明用紙

包茎に対するステロイド治療

1.病態と症状

 包茎とは、亀頭(陰茎の先端)が包皮に被われた状態のことをいい、真性包茎仮性包茎に分類されます。真性包茎は、包皮の先端が狭窄していることにより、亀頭がほとんど露出できない状態をいいます。仮性包茎は、普段は亀頭が包皮に隠れていますが、包皮をむくことにより、亀頭を露出することが可能な状態をいいます。

ほとんどの赤ちゃんは真性包茎ですが、3歳頃までに自然に改善することが多いです。しかし、3歳頃になっても約10%程度の方が、真性包茎もしくは皮と亀頭の癒着が強いため(亀頭包皮癒着)、包皮をむくことができません。そうした場合、包皮と亀頭との間にあか(恥垢)が溜まるため、細菌感染により亀頭包皮炎(陰茎の先端や包皮が赤く腫れ、膿が出る)を起こしたり、それによる尿路感染症を発症したりします。また、排尿時に尿が包皮の中に貯まることにより、おちんちんの先端が風船状にふくらみ、排尿時の尿線が出ないことがあります(バルーニングといいます)。このような場合、尿の出づらさが排尿全体に影響し、腎機能障害をもたらしたり、亀頭包皮炎や尿路感染症の原因になったりします。また勃起時に痛みを訴えることがあります。

 

2.真性包茎の治療について

当科では小児の真性包茎に対して、基本的には自然経過で包皮が翻転できる(むける)様になるのを待ちます。上記のような症状がある場合や、学童期になっても翻転できない場合、治療の対象となります。治療の第一選択は、ステロイド軟膏による方法です。軟膏の塗布により、包皮の狭い部分を軟らかくし、包皮を翻転できるようにします。ステロイド軟膏による治療で効果が見られない場合、手術を考慮致します。

 

3.ステロイド軟膏塗布による包茎治療

包皮の先に処方された軟膏を、12回、朝・夕(入浴後)に塗って下さい。多くの場合、1ヵ月程度で効果が現れ、長くても半年程度で包皮がむけるようになります。

 

5.治療後の注意点

軟膏による治療でも手術による場合でも共通することですが、翻転できるようになったあとも翻転を繰り返しておくことで再狭窄(再発)を予防できます。入浴時などに翻転し、洗浄するようにしてください。翻転した後は必ず元に戻して下さい。翻転したままにすると、陰茎が締め付けられてしまうことがあります。締め付けられてしまった場合は至急当科に御連絡ください。

 

6.ステロイド軟膏塗布による副作用

一般的にステロイドの使用により各種の副作用の報告はありますが、包茎の治療に使った場合の副作用はほとんど報告されていません。

 

7.ステロイド軟膏治療で効果が見られない場合

ステロイド軟膏治療に抵抗性で、長期間の治療後も包皮が翻転できない場合があります。その場合は、手術療法を考慮するか、あるいは思春期まで経過を見ることとなります。