よくある質問
脳卒中について
脳卒中とはどんな病気ですか?
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳細胞が急激に障害を受ける病気の総称です。代表的には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3つがあります。いずれも命に関わる重い病気であり、発症直後から脳の細胞に不可逆的な障害が進行するため、迅速な対応が極めて重要です。治療の遅れは後遺症や死亡率に直結するため、早期発見と一刻も早い受診が必要となります。
脳卒中の主な種類と割合は?
脳卒中は大きく3つのタイプに分かれます。最も多いのは血管が詰まる「脳梗塞」で全体の約6割を占めます。次に、血管が破れて出血する「脳出血」が約3割、そして動脈瘤が破裂して起こる「くも膜下出血」が約1割です。種類によって原因や治療法が異なるため、早期診断が重要になります。
脳卒中になりやすい人はどんな人ですか?
脳卒中の発症には、生活習慣病や血管に負担をかける因子が大きく関わります。特に高血圧は最大の危険因子とされ、喫煙、糖尿病、脂質異常症、不整脈、肥満、過度の飲酒やストレスなどもリスクを高めます。これらの因子を複数抱えている人は特に注意が必要です。
若い人でも脳卒中になりますか?
脳卒中は高齢者に多い病気ですが、若年層でも発症することがあります。特に脳血管の奇形(動静脈奇形など)、動脈解離、心臓の異常による血栓などが原因となることがあります。若くても、突然の頭痛や手足のしびれ、言葉のもつれなどの異変を軽視せず、早めに医療機関を受診することが大切です。
脳卒中の症状にはどのようなものがありますか?
片側の顔や手足が動かなくなる麻痺やしびれ、言葉が出にくくなる失語、理解力の低下、視力障害、強いめまいやふらつき、突然の激しい頭痛などが典型的です。これらの症状は突然現れることが特徴であり、1つでも当てはまれば速やかに救急車を呼ぶ必要があります。
脳卒中には予兆がありますか?
脳卒中は多くの場合、予兆なく突然起こりますが、一時的に脳の血流が滞る「一過性脳虚血発作(TIA)」が前ぶれとして出ることがあります。症状は一時的に治まりますが再発リスクが高く、数日以内に本格的な脳卒中に進展する危険もあるため、すぐに受診が必要です。
脳卒中が疑われたらどうすれば?
脳卒中は一刻を争う病気です。症状が出たら迷わず119番に通報し救急搬送を依頼してください。軽症に見えても脳にダメージが進行している場合があり、時間の経過とともに治療の選択肢が狭まります。ためらわず「救急対応」が原則です。
救急搬送後、病院でどんな検査が行われますか?
救急搬送後はまず症状や既往歴を確認する問診と診察が行われます。その後、CTやMRIなどの画像検査で脳の状態を把握し、血管が詰まっているか、出血しているかを判別します。必要に応じて血液検査や心電図も行い、最適な治療法が迅速に決定されます。
再発を防ぐ方法はありますか?
一度脳卒中を起こした人は再発のリスクが高いため、生活習慣の改善と基礎疾患の適切な治療が不可欠です。禁煙、節酒、食事の見直し、運動習慣の導入、ストレス管理が基本です。さらに血圧や血糖値、コレステロール値のコントロールを続けることが重要です。
脳卒中の後遺症は?
代表的な後遺症として、手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくい失語症、視覚障害、記憶や注意力の低下などの高次脳機能障害があります。症状の程度は脳の損傷部位や大きさによって異なります。リハビリテーションをできるだけ早期から始め、継続して取り組むことで、機能回復の可能性を高めることができます。
手術後はいつから運動や仕事に戻れますか?
術後の回復には個人差がありますが、一般的には数週間から1か月程度は激しい運動や長時間の労働を控える必要があります。無理に復帰すると再出血や合併症のリスクが高まります。復帰のタイミングは必ず主治医と相談してください。
「血液をサラサラにする薬」はどのくらい続けるべきですか?
抗血小板薬や抗凝固薬は再発予防のために用いられますが、内服期間は患者ごとの状態により異なります。多くは長期に渡り継続が必要で、途中で自己判断で中止すると再発の危険が高まります。服薬管理は必ず医師の指示に従いましょう。
手術時の所要時間は?
開頭によるクリッピング術はおよそ4〜5時間、血管内手術は3〜4時間、バイパス手術は5〜6時間程度を要します。手術の内容や合併症の有無、患者さんの状態によって前後しますが、いずれも長時間の集中治療が必要です。
脳卒中と認知症には関係がありますか?
脳卒中を発症すると、その後に認知症を合併するリスクが高まることが知られています。これは脳の血流障害によって神経細胞が損傷し、記憶や思考の働きに影響を与えるためです。いわゆる「血管性認知症」は脳梗塞や脳出血の後に発症することが多く、予防には生活習慣の改善と再発防止の徹底が不可欠です。
脳卒中は完全に予防できますか?
脳卒中のリスクをゼロにすることはできませんが、生活習慣の改善によって大幅に減らすことが可能です。特に血圧の管理、禁煙、減塩、適度な運動、十分な睡眠が効果的です。また、糖尿病や不整脈など基礎疾患を持つ場合は医師の指示に従い、薬の服用や定期的な受診を継続することが大切です。
心臓病について
心臓病とは何ですか?心不全との違いは?
心臓病とは心臓の構造や機能に異常をきたすさまざまな疾患の総称です。代表的には狭心症、心筋梗塞、弁膜症、不整脈、心筋症などがあります。その中で心不全は、心臓のポンプ機能が低下して血液を全身に十分に送れなくなった状態を指します。つまり心不全は心臓病の一つの結果として現れる症状群であり、治療や管理の対象となる病態です。
心臓病の主な種類にはどんなものがありますか?
心臓病には多くの種類があります。代表的なものは、心臓の血管が狭くなることで胸の痛みや心筋のダメージを起こす「狭心症」や「心筋梗塞」、心臓の弁がうまく働かなくなる「弁膜症」、心臓の筋肉に異常が起きる「心筋症」、心臓のリズムが乱れる「不整脈」、そして生まれつきの構造に異常がある「先天性心疾患」などです。それぞれ症状や治療方法が異なるため、早期の発見と適切な対応が大切です。
心不全とはどんな病気ですか?
心不全は病名ではなく、心臓のポンプ機能が低下して全身に必要な血液を送り出せなくなった状態を指します。症状としては息切れやむくみ、疲れやすさなどがあり、進行すると日常生活に大きな制限をもたらします。原因は心筋梗塞や弁膜症、高血圧、不整脈など多岐にわたり、慢性的に進行することも急激に悪化することもあります。
心房細動とは?症状やリスクは?
心房細動は不整脈の一種で、心房が不規則に細かく震えることで脈が乱れる状態です。動悸や息切れ、めまいを感じることがありますが、無症状の場合もあります。心房内で血栓ができやすく、その血栓が脳に飛ぶと脳梗塞のリスクが高まります。放置すると心不全を悪化させる要因にもなるため、早期の診断と治療が重要です。
心臓病患者は運動してもいいですか?
心臓病の方でも、医師の指導のもと適度な運動を行うことは心機能の維持や生活の質の向上に役立ちます。ただし、急激で強度の高い運動は心臓に大きな負担をかけるため避ける必要があります。ウォーキングや軽いストレッチなど無理のない範囲で続けることが推奨されます。
食事で気をつけることは?
心臓病の進行を防ぐには、栄養バランスの取れた食生活が不可欠です。特に塩分の過剰摂取は血圧を上げて心臓に負担をかけるため、控えることが大切です。また脂質の取りすぎは動脈硬化の原因になるため注意しましょう。野菜や果物、魚を取り入れた和食中心の食事が望ましいです。
薬が体に合わない気がします。自己判断でやめてもいいですか?
心臓病の薬は症状や進行を抑えるために重要です。副作用を感じることがあっても、自己判断で服薬を中止すると命に関わる危険があります。違和感や体調不良がある場合は、必ず主治医に相談し、必要に応じて薬の調整を受けることが安全です。
心不全で降圧薬を飲むのはなぜですか?
降圧薬は血圧を下げるだけでなく、心臓の負担を減らしたり、心臓の形や働きが悪くならないように守る働きがあります。そのため、心不全の進行を防ぎ、症状の悪化や再入院を減らす効果が期待できます。このため、高血圧がない方でも医師の判断で処方されることがあります。
医療費負担が気になります。支援制度はありますか?
利用できる制度は人によって異なるため、通院している病院の相談窓口や、お住まいの自治体で確認してみてください。
心不全では、なぜ毎日の体重測定が必要なのですか?
心不全の方は体に水分がたまりやすく、その変化が体重に表れます。特に数日間で急に体重が増える場合は、体に余分な水分がたまっているサインかもしれません。毎日体重を測り、その変化を主治医に伝えることで、治療内容の調整や悪化の早期発見につながります。
心臓病の検査や治療にはどんなものがありますか?
心臓病の診断には、心電図や心エコー、血液検査、さらに必要に応じてCTやMRIなどの画像検査が行われます。治療は薬によるコントロールが中心ですが、病気の種類や重さによってはカテーテル治療や外科手術が必要になることもあります。加えて、リハビリや生活習慣の改善指導も治療の大切な一部です。早期に発見し、適切な治療を受けることで予後を大きく改善できます。
心臓病のリハビリはどのようなものですか?
心臓病のリハビリは、病気の治療後に心臓に負担をかけすぎない範囲で体を回復させていくためのプログラムです。具体的には、軽い運動を専門スタッフの指導のもとで行ったり、食事や生活習慣を見直すためのアドバイスを受けたりします。これにより、体力の回復や病気の再発予防につながり、日常生活をより安心して送れるようになります。
どんな症状が出たらすぐに受診すべきですか?
突然の胸の痛みや圧迫感、激しい息切れ、失神、脈の乱れなどは命に関わる可能性があります。特に胸痛が数分以上続く場合は心筋梗塞の危険があるため、すぐに救急要請してください。自己判断で放置せず、早急な対応が命を守ります。
生活で注意すべきことは?
心臓病を持つ方は禁煙、節酒、十分な睡眠、ストレス管理を心がけることが大切です。また定期的な通院と処方薬の継続が予後の改善につながります。過度の疲労を避け、日常生活の中で無理をせず体調の変化に敏感でいることも重要です。
センターについて
センターはどのようなメンバーが関わっているのでしょうか?
循環器や脳神経外科の専門医をはじめ、看護師、リハビリスタッフ、栄養士など多職種の医療スタッフが協力して運営にあたっています。医療の現場で培った知識と経験を活かし、地域の患者さんやご家族にとって役立つ情報や支援を提供できるよう取り組んでいます。
センターではどんな活動をしていますか?
県民の皆さまを対象に、脳卒中や心臓病の予防や治療に関する公開講座を年間3〜4回程度、無料で開催しています。また、センターのメンバーや地域の医療従事者が集まり、勉強会や情報交換を行うことで、常に最新の知識を学び合い、その成果をわかりやすく発信するよう努めています。
センターは誰が利用できるのですか?
千葉県にお住まいの方であれば、どなたでもご利用いただけます。患者さんご本人はもちろん、ご家族や介護を担っている方からのご相談も対象です。現在、専用の相談窓口は準備中ですが、開設後には病気や生活に関する不安を気軽にご相談いただける体制を整えてまいります。