コラム

解雇・退職・雇止めのルール

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労使間でよくトラブルになるのが退職や解雇、雇止めの問題です。特に使用者が一方的に労働者を解雇するということは、労働者にとって生活の基盤を失うことにもなります。その為、今回は解雇・退職・雇止めのルールを見ていきたいと思います。

退職のルール

退職することは労働者の自由ですが、退職するときは、社会的ルールを守って退職することが必要です。就業規則等で退職の規定を確認して、手続きの仕方がどうなっているかを調べ、トラブルを回避する為にも、その規定通り進めることが必要と考えます。(一般的に、1ヶ月前に退職の申し出をするよう規定されている場合が多いようです。これが仮に、3ヶ月前に退職の申し出をする規定になっていたとしたら、少し長いと考えます。そのような場合は、都道府県労働局或いは労働基準監督署にある総合労働相談コーナーへ相談下さい。)

期間の定めのない労働契約の労働者の場合、就業規則等に特に定めがなければ、労働者が退職の申し出をして2週間を経過すれば契約は終了します。期間の定めのある労働契約の労働者は、「やむを得ない事由」がない限り、原則、契約期間の途中で退職することはできません。ただし、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後は、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。(一定の事業が完了するまでの期間を契約期間とする場合や、契約期間の上限が5年まで認められている場合は対象となりません。)

退職の意思は上司に伝え、書面で届けることが必要です。(後々トラブルにならないように、書面での届け出が必要と考えます。退職願は労働契約の合意解約の申し入れの意味合いがあり、退職届は労働者の一方的な労働契約解除の意思表示とされています。退職の意思をはっきり伝える為には、退職届を提出した方が良いと考えます。)そして、仕事等の引継ぎをして、年次有給休暇は退職日までに取得する必要があります。

解雇のルール

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権を濫用したものとして無効となります。使用者は、あらかじめ就業規則等に解雇の事由を記載し、労働契約締結時に書面により明示する必要があります。解雇予告された労働者は、解雇理由証明書を請求できます。

労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日以上前に予告をするか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。また、解雇予告をしないで即時に解雇しようとする場合は、解雇と同時に平均賃金30日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。

なお、解雇しようとする日までに、30日以上の余裕がないときは、解雇の予告をしたうえで、30日に不足する日数分の解雇予告手当を支払うことになります。試用期間中の労働者であっても14 日を超えて使用された場合は、解雇予告が必要になります。

業務上ケガや病気をして、療養のために休業している期間およびその後30 日間、産前産後休業中の期間およびその後30 日間や、結婚、妊娠、出産、育児・介護休業等を理由とする解雇はできません。

整理解雇

経営不振など経営上の理由により整理解雇を行う場合、次の4要件が解雇の有効か無効かの判断基準になります。
①会社の維持、存続を図るために、整理解雇が必要やむを得ないものであること。(人員削減の必要性)
②希望退職の募集、一時帰休など、会社が解雇回避の努力をしたこと。(解雇回避の努力)
③整理解雇の対象を決める基準が合理的かつ公平で、運用も合理的であること。(整理基準と人選の合理性)
④労働者に十分説明し、納得を得る努力をしたこと。(解雇手続の妥当性)

有期労働契約と解雇

期間を定めのある労働契約は、「やむを得ない事由」がある場合でなければ、契約期間の途中で労働者を解雇することはできません。
①有期労働契約を3回以上更新している場合、②1年以下の契約期間の労働契約が更新されて、最初の契約から継続して通算1年を超える場合、③1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合で、契約を更新しない場合には、あらかじめ更新しないことが明示されている場合でない限り、少なくとも契約期間が満了する日の30日前までに、更新しないこと(雇止め)を予告しなければなりません。また、雇止めの予告後、労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、使用者は遅滞なく証明書を交付しなければなりません。(雇止め後に労働者から請求された場合を同様)

なお、有期労働契約で契約の更新を繰り返したにもかかわらず、使用者が雇用期間の満了時に更新を拒否することを雇止めと呼んでいます。有期雇用である以上、期間満了により契約が打ち切られるのが原則ですが、有期労働契約の反復更新により無期労働契約と実質的に変わらない場合や、労働者が有期労働契約の契約期間満了時に契約が更新されると期待することに合理的な理由が認められる場合、雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その雇止めは無効となり、有期労働契約が更新されたものとみなされます。

ここまで解雇・退職・雇止めのルールを見て来ました。「なかなか退職をさせてくれない」、「いきなり上司から明日から来なくて良いと言われた」等のトラブルが発生したときは、都道府県労働局或いは労働基準監督署内にある総合労働相談コーナーへ相談されることをお勧め致します。

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