病気の後を知る 食事について
概要
脳卒中や心臓病の予防、再発防止、治療後の体調管理において、毎日の食事はとても重要な役割を担っています。特別な制限を設けるのではなく、無理なく続けられる工夫を取り入れながら、自分の体に合った食生活を整えていきましょう。
食事が体に与える影響
食事内容は血圧や血糖値、コレステロール値などに影響し、動脈硬化の進行や心臓・脳への負担に関係することがあります。バランスのよい食事を続けることは、再発予防や体力の維持、日常生活の質の向上に役立つ可能性があります。
治療内容や病状によって必要な配慮は異なるため、主治医や管理栄養士の指導を受けながら進めることが大切です。
バランスの良い食事を心がけましょう
毎日の食事では、主食・主菜・副菜をそろえることが基本です。
主食(ごはん・パン・麺類など)でエネルギーを補い、主菜(魚・肉・卵・大豆製品など)でたんぱく質を摂取し、副菜(野菜・きのこ・海藻類)からビタミン・ミネラル・食物繊維を取り入れましょう。
このような食事を意識することで、無理なく栄養バランスを整えることができます。
減塩を無理なく続ける工夫
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、1日あたりの食塩の摂取目標量は成人男性が7.5g未満、成人女性が6.5g未満と定められています。また、高血圧の方は1日あたり6g未満が目標とすることが推奨されています。
しかし、減塩は大切と分かっていても、「味が薄くて続かない」と感じる方も少なくありません。上手に減塩するためには、塩味以外の味や香りを活用することがポイントです。例えば、レモンやすだちなどの柑橘類、酢の酸味を加えることで、さっぱりとした風味が生まれます。
また、だしや食材そのもののうま味をしっかり引き出すことで、塩分を控えても満足感のある味付けになります。胡椒や七味、香味野菜(大葉・みょうが・生姜など)を取り入れるのも効果的です。
一方で、漬物や麺類、加工食品には見えにくい塩分が多く含まれています。ハム・ベーコンなどの肉加工品、ちくわ・かまぼこなどの練り物は、思った以上に塩分が高い食品です。薄味に慣れていない方は、これらの食品の量や頻度を少し減らすだけでも、減塩につながります。
塩分を控えるための工夫
- いつもより少し薄味を心がける
- 漬物や加工食品を控える
- だしやスパイスを活用する
- 麺類の汁は残す
- ソースやしょうゆは、小皿にとって少量つける 等
さらに、塩分濃度計を使って味噌汁やスープの塩分を実際に測ってみると、「思っていたより塩分が高い」と気づくことがあります。数値で確認することで、減塩への意識が高まり、日々の食事改善に役立ちます。
油は「質」と「量」を意識しましょう
油は控えた方がよいと思われがちですが、種類を選び、適量をとることが大切です。
植物油や魚に含まれる不飽和脂肪酸には、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らすという報告があり、血管の健康を保つ働きが期待されています。
特に、
- 青魚やえごま油・あまに油に多い「n-3系脂肪酸」
- ごま油・ナッツ類・植物油に含まれる「n-6系脂肪酸」
- オリーブ油に多いオレイン酸
などは、心臓や血管の健康を支える油として知られています。ただし、体によい油であってもとりすぎは禁物です。焼く・蒸す・煮るなど調理法を工夫しながら、毎食バランスよく取り入れることが、上手な油のとり方につながります。
体重管理につながる食べ方のポイント
体重管理のために、主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけることが基本です。
主食を抜くと一時的に摂取エネルギーは減りますが、強い空腹感から間食や過食につながったり、おかずの量が増えて脂質や塩分をとりすぎてしまうこともあります。
主食は毎食、適量をとるようにしましょう。また、主菜では、脂身の少ない肉や魚、大豆製品を選ぶことがポイントです。同じ食材でも、揚げ物より蒸し物・茹で物を選ぶことで、カロリーを抑えられます。
早食いは食べすぎにつながりやすいため、よく噛んでゆっくり食べることも大切です。野菜やきのこ類など、噛みごたえのある食材を取り入れる工夫もおすすめです。
むせやすい・飲み込みにくいときの食事の工夫
脳卒中後などでは、食事中にむせたり、飲み込みにくさを感じることがあります。特に、パサつきやすい食品、口の中でばらけやすい食品、さらさらした液体、粘り気が強いものや噛み切りにくい食品は注意が必要です。飲み込みやすくするためには、次のような工夫が有効です。
- 水分を含ませてパサつきを防ぐ
- ゼリー状にする、とろみをつける
- マヨネーズやあんでまとめる
- 一口大に切る、やわらかく煮込む
また、食事の際は姿勢によって誤嚥リスクが変わることがあるため、気になる場合は医師・言語聴覚士・管理栄養士などに相談し、無理のない方法を確認しましょう。食べやすさには個人差がありますので、無理せず、専門家に相談しながら調整しましょう。
手が震えて食べにくいときの工夫
飲み込みは問題なくても、手の震えや動かしにくさで食事がしづらい場合があります。
そのようなときには、自助具と呼ばれる補助用の食器が役立ちます。
握りやすい太めのスプーンやフォーク、滑りにくいお皿、箸の補助具などを使うことで、食事を口に運びやすくなります。また、滑り止めシートを敷いて食器を固定したり、テーブルの高さを調整して口との距離を近づける工夫も効果的です。
「食べること」を負担に感じず、安心して続けられるよう、身近な工夫を取り入れてみましょう
食事は「完璧」を目指さなくて大丈夫です!
ご家族として、「これを食べさせてはいけないのでは」「もっと厳しく管理しないといけないのでは」と不安になることもあるかもしれません。
ですが、食事は毎日のことだからこそ、無理なく続けられることが一番大切です。
すべてを制限するのではなく、「今日は少し減塩できた」「揚げ物を蒸し料理に変えてみた」といった小さな工夫の積み重ねが、体を守る力になります。
ご本人の「食べたい」「楽しみたい」という気持ちも大切にしながら、困ったときは専門家に相談し、ご家族だけで抱え込まないようにしてください。
千葉県の栄養相談・食育事業
千葉県では、県民の健康づくりを目的として、栄養や食生活に関するさまざまな相談・支援事業が行われています。病気の予防や治療後の生活を支えるため、ぜひ活用してみてください。
- 公益社団法人千葉県栄養士会 テレホン栄養相談会
第2、第4月曜日(年末年始、祝祭日は除く)午前10時~午後4時の間に、食生活について、電話相談ができます。
- 県民の元気を応援するお店「健康ちば協力店」
『野菜がたっぷり食べられる』『食塩を控えることができる』メニューやサービスを提供する飲食店等を、「健康ちば協力店」として登録し、県民の皆さまが積極的に健康づくりに取り組めるよう応援しています。
- 高齢者のための季節の献立集
千葉県と千葉市が共同で作成した献立集です。一人暮らしの男性でも気軽に作れるようなメニューを中心に、バランスのよい食事ができるようになっている点がポイントです。
- 千葉県食生活改善推進員がお薦めする “ふやそう野菜・へらそう塩” レシピ
※本ページは一般的な情報提供を目的としています。症状や治療内容により適切な食事は異なりますので、主治医・管理栄養士等の指導に従ってください。