千葉大学大学院医 学研究院 整形外科 頚椎・脊髄グループ
 
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脊髄腫瘍マイクロサージェリー

 当グループではいわゆる脊椎手術のほかに、脊髄を扱う手術にも力を入れています。主な対象疾患は脊髄腫瘍(硬膜外腫瘍、硬膜内髄外腫瘍、髄内腫瘍)や脊髄空洞症です。

当グループの脊髄手術の特徴
●県内外のさまざまの病院より患者さんのご紹介をいただいています。
●詳細な神経学的診察と画像検査に基づいて治療方針を決定します。
●手術は顕微鏡下の手技を基本とし、病変の近傍に位置する正常な脊髄や末梢神経に細心の注意を払いながら行います。
●脊髄の手術では基本的に全症例で手術中の脊髄モニタリング (神経機能を調べる検査)を行い、脊髄への負担を確認しながら手術を行います。
●診断・治療に難渋するケースは神経内科や脳神経外科と相談しながら方針を検討します。
●排尿障害については泌尿器科と連携をとりながら診断・治療にあたります。
●術後も遺残するしびれや疼痛についてはペインクリニック等と連携をとりながら治療にあたります。
●残存する麻痺等に対する術後のリハビリテーションについても関連病院、リハビリテーション専門病院と連携をとりながら最善の医療を提案・提供します。


現在の主な取り組み
1. 術前画像診断
PETや新しいMRI撮像法による術前画像診断に力を入れています。

2. 硬膜再建法の工夫
硬膜内に発生した腫瘍を摘出する際は硬膜を切開しなければなりません。硬膜、およびその下のくも膜を切開すると術後髄液漏 (くも膜の下を流れている脳脊髄液の漏出)が問題となることがあります。術後の髄液漏を予防するために人工硬膜の補填や縫合法の工夫に力を入れています。

3. 神経鞘腫摘出術における術後神経脱落症状軽減のための工夫
神経鞘腫では腫瘍の発生源の神経 (根糸または神経根と言います)を切離しなければなりません。神経鞘腫の手術では当該神経切離に伴う術後の神経脱落症状 (支配領域の運動神経や感覚神経が一時的または永続的に麻痺すること)が問題となることがあります。当科では可能な限り、近傍の正常な神経根、根糸の温存に努め、術後脱落症状の低減化を図っています。また、術中電機刺激検査や肉眼所見により当該神経の脱落症状を予想し、発生源の神経の切離についても術中のフレキシブルな対応を心がけています。

4. 髄膜腫の再発予防に対する工夫
髄膜腫では腫瘍摘出のみで対応すると硬膜の浅い層と深い層の間に腫瘍が残存することがあり、再発しやすくなる可能性が近年指摘されています。当科では現在、腫瘍の母床硬膜を含めた腫瘍全摘術、人工硬膜を用いた母床硬膜の再建を行っています。

5. 髄膜腫の術後髄液漏予防に対する工夫
髄膜腫の手術では可能な限りくも膜の温存したくも膜外での手術に努め、髄液漏の予防に力を入れています。

6. 髄内病変に対する手術
上衣腫、星細胞腫、血管系腫瘍等の髄内腫瘍も手がけています。また脊髄炎(脊髄自身の炎症性疾患)と腫瘍性病変の鑑別が困難な症例に対しても積極的に確定診断を目的とした組織生検術を行っています。脊髄髄内病変の手術は、目的とする部位へアプローチする際に正常脊髄を割って進入しなければならないという大きな問題があります。特に症状が進行した患者さんや脊髄の予備能力が下がっている患者さんの治療では術後の耐え難いしびれや後索症状 (足の位置がわかりにくい、皮膚の感覚がおかしい)が問題となるケースが多く、当グループでは術後遺残症状に対するフォローにも力を入れています。

7. 脊髄空洞症に対する手術
病因に応じて各種手術治療(後頭下減圧術、各種シャント増設術)を行っています。難治例・再発例に対しては、個々の病態に応じたオーダーメイド治療を心がけています。

8. その他
その他に、脊髄ヘルニア、嚢腫性病変、転移性腫瘍等、比較的頻度の少ない疾患の治療や癒着性くも膜炎等の難治性の疾患の治療も積極的に行っています。


症例1)50代 男性 胸髄砂時計腫 (神経鞘腫)

術後

発生源の導入・導出神経根を含めた腫瘍摘出術を行いました。
術前

椎間孔という神経根の通り道を通じて「砂時計状に」発育するため、このような名称で呼ばれております。脊髄症を認めたり、保存加療抵抗性の疼痛を認める場合、腫瘍摘出術を行います。



症例2)60代 女性 馬尾腫瘍(神経鞘腫)

術後

この患者さんは術前に排尿障害を認めておりましたが、腫瘍摘出術にて症状は軽減しました。
術前

腰椎部の硬膜内にできる腫瘍を馬尾腫瘍といいます。



症例3)60代 男性 硬膜内髄外腫瘍 (髄膜腫)

術後

母床硬膜を含めた腫瘍全摘出術を施行しました。
術前

患者さんは徐々に手の動かしにくさとしびれを自覚、腫瘍摘出術の方針となりました。



症例4)30代 女性 硬膜内髄外腫瘍 (髄膜腫)

術後

母床硬膜を含めた腫瘍全摘出術を施行しました。
術前

患者さんは強い下肢痛を訴え、痛みのため日常生活に障害もあったことから手術の方針となりました。



症例5)30代 女性 頚髄髄内腫瘍(上衣腫)

術後

腫瘍全摘術施行、術後下肢のしびれの悪化を認めましたが、運動麻痺は無く、仕事に復帰されました。
術前

体幹、四肢のしびれを認めました。精査の結果頚髄髄内腫瘍の診断、腫瘍摘出術を行いました。


脊髄手術件数

2011年〜2014年
硬膜内髄外腫瘍
33神経鞘腫・神経線維腫
15髄膜腫
1血管系腫瘍
1その他の硬膜内髄外腫瘍
50硬膜内髄外腫瘍小計

髄内腫瘍
5上衣腫
3星細胞腫
3血管系腫瘍
4その他の髄内腫瘍
15硬膜内髄外腫瘍小計

硬膜外腫瘍
3造血系腫瘍・転移性腫瘍
1髄膜腫
2血管系腫瘍
6硬膜内髄外腫瘍小計

その他の脊髄手術
6脊髄空洞症
癒着性くも膜炎
嚢腫性病変
1脊髄炎(開放生検)
12その他の脊髄手術小計

83脊髄手術合計

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