腫瘍細胞の生物学的特徴を決めているのは、タンパク質発現の変化であり、多くのタンパク質群が関与しています。私たちは、プロテオミクスという網羅的なタンパク質解析法と、SEREX法という免疫反応を利用した抗原探索法を用いて、脳腫瘍の発生に伴って組織や患者血液中で発現変化するタンパク質を探しています。こういったタンパク質をマーカーとして利用することにより、血液を採取するだけで簡便に行える早期診断や、治療への反応性などより精密な腫瘍の個性診断が可能になると考えられます。すでに臨床応用している薬剤感受性試験に加えてこういったタンパク質レベルでの情報を統合することにより、個々の患者の個性に応じた最適な治療を提供することを目標にしています。また、これらのタンパク質は治療標的として新規薬剤やワクチン療法の開発にもつながるものです。すでに、いくつかの候補タンパクを同定しており、特許申請や論文発表を行っています。 |