千葉大学脳神経外科

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千葉大学脳神経外科の紹介
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当科の診療・研究の特徴
もくじ
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機能的脳神経外科 他
てんかんの外科
  三叉神経痛・片側顔面けいれん
  脳深部刺激療法
  神経内視鏡
  手術で治る痴呆
  脳神経疾患に対するPET検査
機能的脳神経外科 他 てんかんの外科
てんかんの外科治療
千葉県立佐原病院
峯清一郎
現状

日本には100万人のてんかん患者さんがいますが、20%の人は発作コントロールが不良で難治性てんかんと呼ばれます。難治性てんかんの15%(3万人)には外科治療の適応があります。しかし、実際に外科治療を受けている患者数は少なく、外科治療の存在すら十分に知られていないというのが現状です。難治性てんかんが疑われたらまずてんかん専門医の受診をお勧めします。日本てんかん学会には専門医制度があり、ホームページに各地域の専門医一覧が掲載されています。(日本てんかん学会

難治性てんかんの手術適応

1990年に米国国立衛生研究所コンセンサス会議が開催され、難治てんかんについて以下のような定義と手術適応が提唱されました。

  1. 難治性てんかんの定義
    • 専門医が多剤治療を2年以上施行しても1回/週〜月以上の発作を認める
  2. 外科手術の対象となる発作型
    • 切除しても神経脱落症状を生じない大脳領域にてんかん原性焦点がある部分発作
    • 二次性全般化発作
    • 転倒発作・失立発作
    • 一側大脳半球に多焦点を有する小児
  3. 精神発達遅滞、精神疾患、生命予後に影響するような合併疾患がない
  4. 発作の改善・消失が得られれば社会復帰が可能である
  5. 基本的には年齢による制限はない

これが手術適応の基本ですが、画像診断で器質性病変が認められ切除手術によりてんかん発作の抑制が期待できる場合や、器質性病変は認められなくても、特徴的な発作症状と脳波所見を兼ね備えている場合、外科治療を考慮する脳神経外科医が増えています。一般的に年齢や病悩期間で手術適応を制限することはありません。術前検査、全身麻酔、開頭術が可能ならば手術を考慮してもよいでしょう。小児では、繰り返す発作が脳の発達に悪影響を与える可能性があるので、早い手術が望ましいとする意見もあります。医療経済学的にも外科治療の優位性は証明されています。

手術の原理と手術法、手術成績

手術方法は焦点切除手術と遮断手術に分けられます。

焦点切除術

てんかんが発生する脳の部位を焦点と呼び、焦点を切り取る手術を焦点切除術といいます。焦点を完全に切除できれば発作の抑制が期待できます。

遮断手術

遮断手術は脳の発火が伝わる経路を断ち切る方法です。脳梁離断術は代表的な遮断手術で、左右の大脳半球を連絡する脳梁を離断します。転倒発作、失立発作に有効です。軟膜下皮質多切術は大脳皮質を5mm間隔に離断する手術法で、焦点が運動野や言語野にあって切除ができない場合適応となります。側頭葉てんかんに対する焦点切除では約80%、側頭葉外てんかんに対する焦点切除では約70%の患者さんで発作の消失か改善が得られています。脳梁離断は発作が完全に消失することはまれですが、70%以上で発作の改善がみとめられます。

術前後の検査
非侵襲的検査
  • 頭皮電極によるビデオ脳波検査 (発作症状・発作時脳波同時記録)
  • 神経画像検査
    CT、MRI(脳の形態学的検査) FDG・PET(脳のブドウ糖代謝測定) SPECT(脳血流測定)
  • 神経心理学的検査 (知能、言語機能評価)
侵襲的検査
  • 開頭術中皮質脳波検査
  • 頭蓋内電極によるビデオ脳波検査
  • 頭蓋内電極を用いた大脳機能地図作成
術後検査
  • てんかん焦点の組織学的・神経生物学的検索
手術後の薬物療法

手術後は、発作が消失してもしばらく(1−数年)は抗てんかん薬を服用する必要があります。発作コントロールがよければ断薬のチャンスもありますが、断薬は発作再発のリスクがあり、完全に断薬できるの20%くらいといわれています。

手術費用と公的援助

術前検査、頭蓋内電極留置術と焦点切除術を含めて、入院費・手術料の総額はおよそ200万円位ですが、現在は健康保険が適応されます。県によっては、受領委任制度を設けて国民健康保険世帯の支払い負担額を軽くしているところがあります。課税世帯と非課税世帯で違いがあるので詳しくは医事課の担当者と相談してください。小児の場合、小児慢性特定疾患に対する補助制度があり、入院中の医療費が全額公費によって援助されます。てんかんで対象となるものは、ウエスト症候群(点頭てんかん)と結節性硬化症等です。

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