コラム

千葉大学病院ニュース27号(2011年10月) 掲載

治る「認知症」があります

認知症

認知症は治らないと諦めてはいませんか? 認知症の原因はさまざまです。アルツハイマー病といった、脳そのものの病気では、治療に反応しない方もまだまだ多いのですが、気づいて治療すれば治る場合が、じつは多いのです。

たとえば、脳神経外科であつかう疾患にともなった認知症の場合は、比較的よく治ります。甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、ビタミンやミネラルの不足、心不全といった、脳以外の内科的な疾患や、一部の良性の脳腫瘍や高齢者に多い正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫などが、それに当たります。

よく治る認知症には、3つの共通点があります。

1つ目は、歩行がふらつく、尿漏れがある、足がひどくむくむようになった、手足に力が入りにくくなったなど、認知症以外の症状を、多く合併していることがあげられます。

2つ目は、人格が比較的保たれ、昼寝をよくする、テレビを見ながら寝てしまう、食事中に寝てしまうなど、眠気が増して集中力が低下した状態が見られることです。

3つ目は、経過が比較的早く出ていること。2~3カ月で急に症状が出たときには、治療可能な病気が隠れていることが多いのです。

もしも、ご家族にどれか思い当たることがありましたら、あきらめずに、すぐに、脳神経外科か神経内科に相談することをおすすめします。すべての認知症が治らないわけではありません。治る認知症もあるのです。

(脳神経外科 村井尚之)

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千葉大学病院ニュース26号(2011年7月) 掲載

十分な水分やミネラル補給を

熱中症

地球温暖化の影響で、熱中症の発症数が年々増加しています。今年はとくに、節電のため、エアコンの使用を控えたり、設定温度を高めにすることが推奨されていることから、さらに増加するおそれがあります。

熱中症は、外部環境の暑さに対して体温調節がうまく行われないことによっておこる病気です。一般的には、炎天下で長時間の作業や激しい運動をした時に、十分な水分やミネラルが補給されないことにより起きますが、お年寄りや体調不良の方の場合、高温多湿の室内環境でも起こります。

熱中症はⅠ~Ⅲ度に分類されます。Ⅰ度は脈拍数・呼吸数の増加、多量の発汗、めまいなどの症状や、一過性の意識消失(熱失神)・筋硬直(熱けいれん)などが現れます。Ⅱ度では、頭痛や嘔吐・倦怠感・判断力欠如などの症状が現れます(熱疲労)。Ⅲ度は「熱射病」と呼ばれ、40℃以上の高体温と意識障害を伴い、放置すると腎不全や肝不全などの多臓器障害を合併して命にかかわります。

Ⅰ、Ⅱ度では体温はそれほど上がらないので、熱中症かどうかの判断はつきません。暑い環境でこのような症状があるときは、涼しい環境へ移動して水分やミネラルを十分に摂取するようにしましょう。水やお茶ではなく、冷たいスポーツドリンクや経口補水液(薬局等で購入できます)にすると効果が上がります。

予防のためには、まずは体調を整えること。そして、暑い環境下では無理せずクーラーや扇風機を活用して暑さを避けること、十分な水分とミネラルを定期的に摂るように心がけましょう。

(救急部・集中治療部 織田成人)

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千葉大学病院ニュース25号(2011年4月) 掲載

食事と生活習慣を見直しましょう

便秘症

「便秘症」とは、排便がスムーズに行われない状態を指します。厚生労働省が行った調査によると、国民の10名に1名が便秘症で悩んでいるという結果が出ています。

排便習慣は個人差が大きいため、単に排便の回数が少ないというだけで便秘症とはいえず、臨床的には、「便が出にくくお腹が張ってつらい」、「定期的に排便があっても1回に少ししか出ない気がする」などの不快な症状を伴う排便障害を「便秘症」と判断しています。

便秘症の原因として最も多いのは、腸管の動きの異常です。排便は、腸管が適度な収縮と弛緩を繰り返すことによりが起こりますが、加齢の影響で腸管の収縮力が低下したり、逆にストレスの影響で腸管も弛緩できなくなることなどが原因となるのです。

これらの便秘症に対する治療は、食事内容や生活習慣の改善が基本になります。朝の水分摂取および朝食をきちんと摂ること、食物繊維や発酵食品の摂取をおすすめします。散歩などの適度な運動やリラックスできる時間を持つこと、便意を我慢しないことも重要です。これらの対処でも改善しない場合は、薬物療法の適応になります。

また、便秘症の原因として、大腸癌など重篤な疾患が見つかる場合があるので特に注意が必要です。従って、便秘症に悩まれている場合は、まず胃腸科などの医療機関を受診され適切な検査をお受けになることをおすすめします。

(消化器内科 勝野達郎)

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千葉大学病院ニュース24号(2011年1月) 掲載

今年のスギ花粉症対策

今年はスギ花粉の飛散量が多いことが危惧されています。スギの花粉を作る雄花は夏に成長しますが、昨夏の猛暑が雄花の成長に適した環境であったこと、昨年のスギ花粉飛散量が少なかったことも雄花の成長を助長したと考えられています。千葉ではスギ花粉飛散量は平年より多く、一方飛散開始は、11月の気温が高く、冬眠に入るのが遅れたため2月中旬とやや遅く、その分飛散開始後短期間で飛散ピークがみられるのではと考えられます。しかし、今後の天候により大きく変わる可能性もあります。もちろん、花粉の飛散量が前年の3倍になれば、症状が3倍に強くなるとは限りませんが、花粉の飛散量が増えると症状が強く現れることが多く、新たに発症する患者さんが増えることも確認されています。特に、毎年花粉症に苦しんでいる方は、症状が非常に軽い時から治療を開始して、重症化して鼻の粘膜の過敏性が亢進してしまうのを防ぐ必要があります。発症の経験が無い方もくしゃみ・鼻水や目のかゆみが続くときは花粉症を疑って早期に診察を受けましょう。

(耳鼻咽喉・頭頸部外科 岡本美孝)

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千葉大学病院ニュース23号(2010年10月) 掲載

早期予防・早期発見と早期治療を

脳卒中対策

脳卒中は、生命のみならず、動く・話す・考えるといった人間の基本的な機能を突然奪う重大な病気です。発症を予防することが何より大切ですが、幸い脳卒中は、生活習慣の改善により発症率の抑制が可能です。血圧・食事・運動・ストレスなど多因子が発症に関っており、最近では睡眠時無呼吸症候群、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病との関連も重要視されてきました。

壮年期以降の方は、一度は脳ドックを受けることをお勧めします。無症候性病変の早期発見により、適切な予防処置を取ることが可能です。一過性の軽症発作を放置しないことも重要なので、迷わず専門医に相談してください。

治療面では、血管内治療の発達により、手術をしない治療が可能となりました。器具や技術の進歩も著しく、例えば発症3時間以内の制限のあった超急性期脳梗塞の再開通治療も、8時間まで可能な時代が訪れようとしています。

ショウペンハウエルの“時はよく用いるものには親切である”という言葉が、特に重要な分野です。

(脳神経外科 小林英一)

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千葉大学病院ニュース22号(2010年7月) 掲載

見た目、味は変わらなくても起こる

夏の食中毒

「高温多湿な夏。食中毒に注意しましょう」とよくいわれます。確かに食べ物をこんな環境に置いておけばすぐに傷(いた)みます。〈傷む〉というのは、食べ物についた細菌・カビがそこで増えて、その食物が変質することです。変質した物を食べると、そこには細菌達が産生した毒もあるので、体をこわします。

一方、見た目も味も変わらないのに、中毒を起こすことがあります。これには二つのタイプがあり、料理人の手の小さな傷にいた細菌が生の食べ物に付き、食物を変質させないで強い毒を産生するもの。もう一つは、少しの細菌でも体に入ってから腸の中で急速に増えて、悪さをするというものです。

強い毒が付いた食物を食べれば、1~数時間で吐き気や頭痛が起こり、腸内で増殖する場合は半日以降にひどい下痢や吐き気が出現します。これらの食中毒は、普通食べ物を加熱することで防ぐことができます。

しかし、普通の加熱では防げない食中毒もあります。「青魚は足が早く当たりやすい」といわれ、鯖などの青魚アレルギーと間違えられているヒスタミン中毒というものがあります。鮮度の落ちた魚肉のヒスチジンが細菌によってヒスタミンに変えられ、このヒスタミンで中毒を起こします。ヒスタミンは熱に非常に強いため、かなり加熱してもその作用を抑えることができず、じんま疹やひどい頭痛を引き起こします。

生ものは早く、できれば熱を加えて食べ、保存するのでしたら必ず冷所に置きましょう。

(総合安全衛生管理機構 長尾啓一)

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千葉大学病院ニュース21号(2010年4月) 掲載

ワクチンで予防できる時代に!

子宮頸がん

今年に入り、日本でもようやく子宮頸がんの予防ワクチンが使えるようになりました。「ワクチンで子宮頸がんの予防?」と、ピンとこない方もいらっしゃると思います。子宮頸がんは、ヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)というウイルス感染が原因で起こります。

子宮頸がんに関連するHPV(発がん性HPV)は、15種類ほど見つかっていて、多くの場合性行為により子宮の入り口に感染します。性病とは異なり、性経験のある女性のほとんどが、一生に一度は感染するありふれたウイルスです。

このうち、発がん性HPV16型・18型に対する予防ワクチンが開発されました。16型・18型は他のタイプに比べて子宮頸がんになりやすく、日本では子宮頸がんの60%ほどを占めています。このワクチンは、海外ではすでに100カ国以上で使われていて、12歳を中心に9~14歳で接種が開始されています。

子宮頸がんは、国内で年間約8000人が発症していますが、近年20~30歳代の患者が増加しており、この年齢で最も多いがんとなっています。子宮摘出や放射線治療をした場合は、治癒しても妊娠できなくなります。ワクチンで予防できるがんは、他にはありません。特に若い女性や、お子さんにはワクチンを接種し、子宮頸がんの予防を始めてください。

最後に、ワクチンを接種しても子宮頸がんは100%の予防はできません。20歳を過ぎたら、子宮頸がん検診を受けるようにしましょう。

(婦人科 三橋 暁)

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