教授ご挨拶

臓器横断的がん診療という新しい取組を皆さんとともに。

滝口裕一 教授 千葉大学 大学院・医学研究院

滝口 裕一 教授

がんの多くは難治性です。しかし、がんと戦う有力な方法はあります。がんになっても身体的・精神的苦痛から解放されれば、がんになる前の日常を継続することができます。

先端化学療法学教室は臓器にかかわらず、がんを包括的に研究する腫瘍内科学を専門とし、附属病院では腫瘍内科として診療を担当しています。2006年に附属病院で発足した「臨床腫瘍学チーム」を前身とし2007年に臨床腫瘍部が新設され、臓器横断的ながん診療を開始しました。これに対応した教育・研究のカウンターパートとして2010年より滝口が医学研究院・先端化学療法学の初代教授を務めております。日本では歴史も浅く、全国的にもまだまだ専門家の少ない領域にあって、当教室は発足当初から先進的な取組を展開し、患者さんに最先端の医療を提供すると同時に、多くの専門家を輩出すべく努力してきました。

私たちが特に力を注いでいることは、1)化学療法・分子標的治療を中心とした臓器横断的腫瘍学の研究と診療提供、2)外来化学療法室での治療を中心とした他診療科との連携、3)基礎研究、臨床研究、臨床試験による新しいがん治療法の開発、4)優れた腫瘍内科医の効果的教育法の確立、などです。

がんはさまざまな臓器に障害をおよぼし、患者を身体的に苦しめます。これに立ち向かうには広範な内科学の素養をバックボーンとしたがんの専門家が診療・研究に当たる必要があります。また多くの患者は精神的にも苦しみます。広い知識と高度な技術はもちろん、豊かな人間性を供えた専門家が医療を提供する必要があります。学部学生、大学院生、研修医のみなさんには、このことを十分に理解していただきたいと思います。

たくさんの学生・研修医が、このようにやり甲斐のあるがん薬物療法・腫瘍内科の専門家になりたいと希望し、私たちと一緒に勉強してくれることを期待しています。みなさんを大歓迎いたします。入局したら是非大学院に進学し、より高度な診療と研究ができるよう研鑽されることを強くお勧めします。不運にしてがんに罹ってしまった患者さんには、最近めざましく進歩したがんの内科的治療の恩恵を頼りに、発病前の日常をできるだけそのままに治療を受けることができるよう、私たちと一緒に頑張っていただきたいと思います。

私たちの目的は、がんに罹った患者さんとご家族が明日も笑顔でいられるよう、学生・研修医のみなさん、そして患者・ご家族と一緒に、一日も早くがんの苦痛をこの世からなくすことです。そのために高い理想を掲げて努力をしていきたいと思います。みなさん、一緒に頑張りましょう。