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クロウ・フカセ(POEMS)症候群の新しい治療法

いのはなハーモニー44号(2016年1月) 掲載PDF(PDF形式、2,676KB)

難病の治療法を確立するために
治験とともに啓発活動を実施

希少疾患「クロウ・フカセ(POEMS)症候群」の
新しい治療法を待ち望んでいる患者さんのため、
正式に保険適応を取得するための活動を実施しています。

神経内科 講師 三澤 園子
神経内科 助教 関口  縁
臨床試験部 薬剤師 片山 加奈子

関口助教、三澤講師、片山薬剤師 写真
関口助教、三澤講師、片山薬剤師(写真左から)

希少疾患の患者さんに新しい治療方法を届けたい

難病に悩む患者さんに、有効とされる治療法と薬を早く提供できるようにする──それが私たち医療人の使命です。

私たちが研究しているクロウ・フカセ症候群とは、骨髄の中にある形質細胞という細胞の腫瘍によって生じる病気です。異常な形質細胞が増えるとともに異常なタンパク質がたくさん産生されることで、全身に様々な症状を引き起こします。そのため診断が非常に難しく、急速に症状が進行することも多いため、重症化しやすいことが特徴とされています。病態に不明な点が多く、患者数も少ないため、標準的な治療法は確立されているとは言えません。

患者さんにとって、「今」がとても大切です。私たちは、全国から来院される患者さんに寄り添い、「今すぐ治療を受けたい」という思いに応えられるよう努めています。

サリドマイドを使用した新しい治療法の確立を目指しています

これまでの治療は、同じ形質細胞の腫瘍が原因である「多発性骨髄腫」にならって進歩してきました。その中で、クロウ・フカセ症候群に有効性が高い新規治療として注目されているのが、サリドマイドという薬剤です。千葉大学病院では、サリドマイドを使用した治療法の有効性と安全性を証明し、正式に保険適応を取得して患者さんに効果的な治療法を提供するために、2006年から臨床試験を開始しました。そして2010年9月から2015年8月まで、治験を実施。現在は治験の結果をまとめ、厚生労働省に承認申請を行うための準備を進めています。

サリドマイドを正式に使用することができるようになれば、ご高齢の方や全身状態の悪い方、移植療法のような強い治療を希望されない方にも、安全で効果的な治療が提供できるようになる可能性があります。その実現に向けて、活動を継続中です。

全国の医師や患者さんから協力を得るための啓発活動も実施

厚生労働省が2004 年に行った調査では、クロウ・フカセ症候群の患者さんは全国に約340名と推定されています。しかし、診断がつかずに見逃されていることが多い可能性も指摘されており、実際の患者数はもう少し多いと言われています。そこで、千葉大学病院では、全国の医師や患者さんへ向けて、クロウ・フカセ症候群へのご理解と治験へのご協力を得るためのパンフレットや下敷きなどを制作・配布。啓発活動も積極的に実施しています。

啓発用パンフレットと下敷き

啓発用パンフレットと下敷き 画像

プロフィール

神経内科 講師 三澤 園子
1999年に千葉大学医学部卒業後、2014年より現職。長男6歳、長女5か月の母。仕事と家庭・育児の両立のコツは、楽しむ気持ちを忘れずに、何にでも取り組むようにしていること。ストレス解消法は、子供の笑顔を見ること。
神経内科 助教 関口  縁
2004年に千葉大学医学部卒業後、2013年より現職。長女1歳の母。仕事と家庭・育児の両立のコツは、院内にいる心強いママ先輩たちに支えられ、見習うこと。ストレス解消法は、おしゃべりと読書。
臨床試験部 薬剤師 片山 加奈子
1998年に千葉大学大学院薬学研究科卒業後、2007年10月より現職。長女11歳、長男9歳、次男4歳、三男3歳の母。仕事と家庭・育児の両立のコツは、仕事でも家庭でも、一人で抱え込まず、周囲の協力を得るようにしていること。ストレス解消法は、お酒。