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乳腺・甲状腺外科(長嶋 健)

千葉大学病院ニュース27号(2011年10月) 掲載PDF(PDF形式、2,099KB)

大きく変わっている乳がん治療
だからこそ、早期発見が大切です

乳腺・甲状腺外科 准教授(科長)
長嶋 健
プロフィール
神奈川県出身。昭和63年、千葉大学医学部卒業後、千葉大学医学部附属病院第一外科に入局。
平成元年より関連病院に勤務し、平成5年より乳腺・甲状腺外科へ。趣味はランニング。今年は妻と二人で初の東京マラソンに出場する予定。フルマラソンに挑戦するのは初めてなので楽しみです。

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術後の生活を考えた治療法が主流

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乳腺・甲状腺外科にいらっしゃる患者さんの大部分は女性で、その多くが乳がんの患者さんです。

確立された治療法がまだない分野で、治療法自体もめまぐるしく変わっています。僕が医師になった頃は、大きく取ったほうがいいという考え方が主流だったんです。それが、1990年頃から温存の治療がスタートし、2000年代に入ってからは、「センチネルリンパ節生検」という、リンパ腺の縮小手術が主流になっています。結果論なんですが、取ったけれど転移していなかったという方がいらっしゃって、そうしたとき、大きく取ったことで後遺症が残ってしまうことがあるんです。それを防ぐ目的で始まったのが、「センチネルリンパ節生検」です。

代表的なリンパ節だけを調べて、そこに転移がなければ、もうそれ以上は取らない。患者さんの「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)」、つまり「生活の質」を考えた治療です。がんを手術で取っても、後遺症に悩まされ続ける生活は辛いもの。手術後も、手術前と同様の生活を送れることが治療計画に含まれるようになっているのです。

早期発見のために検診を

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治療の選択肢はとても多くなっています。たとえば、乳房を温存できなくても、乳房のふくらみは欲しいという方でしたら、乳房再建をすることもできます。また、メンタルの部分のケアもできるよう、乳がんに関する資格をもった看護師がいます。患者さんとコミュニケーションを取りながら、その方に合った、よりよい治療ができればいいと考えています。

ただし、それには早期発見が必要です。がんが進んでしまうと選択肢も狭まってしまいます。

早期発見をするためには、何よりも検診です。残念ながら日本のマンモグラフィによる乳がん検診率はとても低く、欧米先進国では70~80%あるところが、日本では20%前後です。この差が、死亡率につながってくるので、定期的に検査を受けていただければと思います。

「再発」をゼロに近づけることが医師としての目標であり、使命

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小学校の卒業文集には、「医者になって病気をなくす」と書いているんです。なぜそう書いたのかは覚えていないのですが(笑)

いま、日本人の16人に一人は乳がんになるといわれています。じつは僕も、自分のおふくろを手術しているんです。身近な病気なので、この病気の正しい理解をしていただき、定期的に検診を受けることを習慣にしていただきたいですね。「今日はちょっと時間があるから、マンモグラフィ受けておこうか」みたいな気楽な感じで検診してもらえるといいんですけど(笑)。

僕が生きている間に乳がんがなくなるというのは、ほぼ不可能だと思うんですね。ですから、乳がんになった方が心配なく暮らせるような状況を作る、つまり、「再発」を限りなくゼロに近づけることが、医師としての目標であり、使命だと思っています。