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和漢診療科(並木 隆雄)

千葉大学病院ニュース26号(2011年7月) 掲載PDF(PDF形式、3,367KB)

「未病」を「健康」に近づける
自然と密接に結びついた和漢診療学

和漢診療科 診療教授(科長)
並木 隆雄
プロフィール
千葉県生まれ。千葉大学医学部のサークル、東洋医学研究会OB。
1985年千葉大学医学部卒業後、循環器内科医師として勤務。2005年、千葉大学大学院医学研究院に和漢診療科が設置され、同客員助教授となる。2010年に千葉大学大学院医学研究院和漢診療学准教授に就任、2011年、千葉大学医学部附属病院和漢診療科長、現在に至る。

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漢方と西洋医学のいいとこ取りそれが和漢診療学

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和漢診療科は2005年に誕生したばかりの新しい講座です。「漢方」のいいところと、「西洋医学」の最先端、双方のいいところを取り、最善の医療をめざそうというのが「和漢診療学」のコンセプトです。前任教授であった寺澤捷年先生が初めて提唱したものです。

現在の日本の診療は西洋医学がほとんどで、私たちのように東洋医学と併用している大学はそれほど多くはありません。じつは本場の中国でもそうで、東洋医学と西洋医学はまったく違う体系に属し、共存することはないのです。

皆さんも、西洋医学と東洋医学は相反するものだというイメージをお持ちかもしれませんが、私たちが目ざすのは、お互いに補い合える、より高いレベルの治療です。

和漢診療学は、いくつもの見方ができる医療です。複数の見方ができるということは、解決法も複数あり、患者さんを治せる確率も高くなります。しかしそれも、西洋医学のきちんとした判断があってのこと。西洋医学の診断や検査結果に基づいてはじめて、漢方などを治療に使うことができるのです。

西洋医学をベースに、一人ひとりに合った治療を

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先日、ある患者さんからこんな手紙をいただきました。長年身体の痛みが酷く、坐薬を使って体調を崩し、姉を亡くされ、そのストレスで体調を崩してしまったのです。涙、汗、体液が出にくいという症状があったので、西洋薬にはない「うるおいを戻す」漢方治療をしたところ、症状がおさまってきたというお礼の手紙でした。

このように和漢診療は、西洋医学だけだと効果があまりになかった方、難病の方、治療法が確立していない、精神的なストレスを抱えている方などに、より高い効果を表します。患者さんのなかには、医療の現場を知り尽くした千葉大学病院の看護師さんも多くいらっしゃいます。「治っている」ことを知っているからこそ受診していただいているのだと、誇りに思っています。

「未病」の状態になったら注意

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趣味は、旅行と落語。人の機微や人情が学べる落語は仕事にとても役立っています。人の心がわからないと、よい診察はできませんから。

旅は学会がらみになってしまうことが多いのですが、被災した東北にもよく行きました。紅葉が美しく、リアス式海岸の美しい三陸沖などがダメージを受けてしまったことが残念でなりません。

私たちの身体も、自然と密接に結びついています。いわゆる病気になるまでの不健康な状態のことを東洋医学では「未病」といいます。この状態を治しておくと、病気を未然に防ぐことができるのです。ですから、ちょっと体調が悪いと思ったら気軽に受診の予約をしてください。