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夏の食中毒

千葉大学病院ニュース22号(2010年7月) 掲載PDF(PDF形式、966KB)

見た目、味は変わらなくても起こる

食中毒

イラスト

「高温多湿な夏。食中毒に注意しましょう」とよくいわれます。確かに食べ物をこんな環境に置いておけばすぐに傷(いた)みます。〈傷む〉というのは、食べ物についた細菌・カビがそこで増えて、その食物が変質することです。変質した物を食べると、そこには細菌達が産生した毒もあるので、体をこわします。
一方、見た目も味も変わらないのに、中毒を起こすことがあります。これには二つのタイプがあり、料理人の手の小さな傷にいた細菌が生の食べ物に付き、食物を変質させないで強い毒を産生するもの。もう一つは、少しの細菌でも体に入ってから腸の中で急速に増えて、悪さをするというものです。
強い毒が付いた食物を食べれば、1~数時間で吐き気や頭痛が起こり、腸内で増殖する場合は半日以降にひどい下痢や吐き気が出現します。これらの食中毒は、普通食べ物を加熱することで防ぐことができます。
しかし、普通の加熱では防げない食中毒もあります。「青魚は足が早く当たりやすい」といわれ、鯖などの青魚アレルギーと間違えられているヒスタミン中毒というものがあります。鮮度の落ちた魚肉のヒスチジンが細菌によってヒスタミンに変えられ、このヒスタミンで中毒を起こします。ヒスタミンは熱に非常に強いため、かなり加熱してもその作用を抑えることができず、じんま疹やひどい頭痛を引き起こします。
生ものは早く、できれば熱を加えて食べ、保存するのでしたら必ず冷所に置きましょう。

(総合安全衛生管理機構 長尾啓一)