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胸腔というのは胸の中のことですから、胸腔鏡は胸の中を見る鏡のことです。実際には胸の中に直径10mm程度のビデオカメラを入れて、胸の中の様子をテレビ画面に映して観察します。
つまり胸腔鏡の手術というのはカメラで胸の中の様子を見て、特殊な手術器械を使って
必要な操作を行うことをいいます。
図1:胸腔鏡手術風景 図2:胸腔鏡操作

胸腔鏡を行う目的としては治療のために行う場合と検査のために行う場合、或いは両方の目的をいっぺんに果たすために行う場合があります。
A)治療
1.対象として多いのは自然気胸です(図3:自然気胸に対する胸腔鏡下手術)
図3
2.胸部の腫瘍性の病気
転移性肺腫瘍(図4:転移性肺腫瘍に対する胸腔鏡下肺部分切除術)
良性腫瘍
縦隔腫瘍(図5:後縦隔腫瘍(神経原性腫瘍))
胸壁腫瘍(図6:胸壁腫瘍)
図4 図5 図6
3.肺癌→肺癌に対する胸腔鏡手術
B)検査と治療をいっぺんに行う場合
肺に腫瘍があるものの腫瘍が小さくて体の外からの検査では診断がつかない場合、患者さんの負担をできるだけ少なくして病気の性質を決めるために行います。手術中に細胞診、病理診断を行い病気にあった手術を行います。
C)検査
1.びまん性肺疾患の肺生検
気管支鏡で採取できる肺の標本は小さく診断をするのに十分でないことも少なくありません。胸腔鏡により肺の一部を切除して診断をつけます(図7:びまん性肺疾患に対する胸腔鏡下肺部分切除術(間質性肺炎))。

2.胸膜炎の診断
胸に水が貯まる病気のことですが、原因はいろいろあり、その原因が決められないことがあります。胸腔鏡で胸の中をみて、病気のありそうな胸膜を調べることにより診断します。

実際の手順を説明します(図8:胸腔鏡下手術の実際)
図8
- 麻酔は一般的には全身麻酔で行います。特殊な場合は局所麻酔下に行うこともあります→局所麻酔下胸腔鏡手術
- 横向きに寝て頂いて約2cm皮膚を切開し、筒のようなもの(ポート)を挿入し、筒を通してビデオカメラを胸の中に入れて、胸の中の状態を観察します。
- 胸の中の状態によって手術方法を決めた後に、操作用ポートを追加します。このポートより処置用の道具を胸の中に入れて手術を行います。
- 多くの場合、特殊な器具を使って肺を部分的に切除します。もちろん観察だけで終わる場合もあります。
- 最後に胸の中に管を入れて手術を終わります。この管は通常2−3日で抜けます。
- 手術や病気によって違いますが、約1週間で退院できます。

- 傷が小さいこと。
- 美容上よいだけではなく、傷の痛みが少なく体の負担が少ない。
- 回復も早く、入院期間が短くてすみます。

- 小さな傷で行う手術なので、病気によっては胸腔鏡でやりきれない場合もあります。
- 出血などが起こった場合は止血がしにくい。
- 病変が見えない場合は切除が困難なこともあります。

当院では患者さんの状態によっては全身麻酔ではなく、局所麻酔下に胸腔鏡手術を行っております。硬膜外麻酔(図9)という麻酔法も併用して行いますが、全身麻酔下の手術と同程度の処置が可能です。技術的に熟練が必要ですが、今まで問題なく行えています。
図9
利 点
- 全身麻酔の影響がないため、体への負担が少ない。
- 手術当日から動いたり、食事をとったりできます。
- 入院期間が少なくてすみます。
適 応
- 体力があまりない患者さんの胸膜炎などの診断を目的とした胸腔鏡手術。
- 高齢者であったり他に肺の病気があって体力的に全身麻酔をかけられない患者さんにおける難治性気胸の治療(図10:高齢者自然気胸に対する局所麻酔下胸腔鏡手術)。
- 将来的には若年者自然気胸の患者さんの治療。
図10

肺癌に対しては通常側胸部を肋骨に沿って約30cm切開して肋骨の間を大きく開けて肺葉切除を行います。最近胸腔鏡の普及に伴い、肺癌に対しても約8cmの小さい傷で肺葉切除を行っています。(図11:肺癌に対する胸腔鏡補助下手術(ミニ開胸))
図11
早期の肺癌がよい適応となっています。傷が小さい分美容上優れているだけではなく、痛みが軽く体力の消耗も少ないため回復が早いことが最大の利点です。
当院では積極的に肺癌に対しても胸腔鏡手術を行い、良好な成績を得ています。
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